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夏目房之介の「で?」

川勝徳重編「怪奇短編劇画集」『蝸牛2』セミ書房

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うちの卒業生でもあるマンガ家・川勝徳重氏がマンガ単行本を出した。貸本スタイルの「怪奇短編劇画集」『蝸牛2』セミ書房 2020年10月10日刊。とっくに送ってもらっていたのだが、ようやく年末に読むことができた。貸本マンガ誌の古本を模したデザイン。裏表紙もいかにも、それらしい。作家は川崎ゆきお、高木ひとし、七色祐太、川勝徳重。川勝の『柳が泣いている』は200頁近い力作。のらくろは出るわ、黒鉄風狸は出るわ、水木風、ファインアート風など、例によってやりたい放題。貸本関係者には有名な久呂田まさみのマンガを扱った七色祐太の論考「虚しさの果てに見えるもの ~久呂田まさみの貸本漫画~」もなかなかの力作で、貸本漫画のある種の「どうしようもなさ」と、その魅力が伝わってくる。しかし、どこで売ってるんだろうなあ、これ。2000円也。
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