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夏目房之介の「で?」

上野顕太郎『治虫の国のアリス』

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原作 手塚治虫、再構成・作画 上野顕太郎『治虫の国のアリス』(マイクロマガジン社 2020年6月25日)を送っていただいた。素晴らしい! たしかに読者を選ぶ作品だ。まず手塚マンガに詳しいこと。次にパロディが好きなこと。とくにマンガの模写、モノマネ好きであること。僕はそのすべてを一応備えているので、読むのが嬉しくて止まらないほど楽しくて笑った。解説のみなもと太郎先生、あのマンガ好きでマンガ知識で並ぶ者のないみなもと先生が「本作に取り上げられた手塚作品の全コマを指摘するだけの知識と根気を持ち合わせていない」とおっしゃっている。もちろん僕などにおいておや、である。しかし、ここにある手塚愛とマンガ愛はとにかく圧倒的に素晴らしい。頁数がないので指摘できないのだが、主人公アリスが作中で手塚治虫を探して「こんな広大な世界で 手塚治虫を探すのか~~大変だぞ こりゃ!!」と、新旧様々な手塚キャラを前に叫ぶ見開きがある。僕は、手塚さんが亡くなった後、やむにやまれず本格的にマンガ批評を書こうと決意し、『手塚治虫はどこにいる』(筑摩書房 1992年)を書いたから、探すのが大変なのはよおーく知っている。くりかえすがノンブルがないので、一体何頁なのかわからない、このぶ厚い本を、あっという間に読んでしまった。でも研究者としてはノンブルつけてくれないと引用のとき大変なんだよねー。
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