河村目呂二と猫
馬頭広重美術館の「猫じゃ猫じゃ」展のミュージアムショップで買った「広重の猫扇子」と猫のがちゃがちゃフィギュア。衝動的に買ってしまった。
昨日、栃木県那須郡の山間の農村にある那珂川町馬頭広重美術館の「猫じゃ猫じゃ」展にちなんで講演をしてきました。この展示、じつによかったです。企画された学芸員の方がつきっきりで解説してくれるという、短いながら贅沢な鑑賞ができ、勉強になりました。浮世絵の猫をはじめ、川村目呂二の猫人形も展示されています。目呂二は昭和前期、招き猫の収集家、愛猫家として有名で、じつは母がたの祖父・三田平凡寺の主催するコレクター集団「我楽他宗」にも参加してました。
だいぶ以前に、母に依頼されて平凡時から母に譲られた目呂二の猫人形一そろい(日本、海外の猫人形をもとに作られたもの)を「なんでも鑑定団」に出し、それを買っていただいた方が、今回の目呂二人形の出展者・則武さんでした。その方が、お仲間の収集家の方や、目呂二のご親族の方を連れてこられ、遠くは山口からわざわざこられた方もおられました。講演をお聴きいただき、展示をみなさんと観て、さらにお話をして、とても楽しい講演出張となりました。
そこで、目呂二の猫(MONEY-KEY猫)の複製とご本をいただきました。帰り道、この本を眺めて、遅まきながら目呂二の面白さに感嘆した次第です。
板東寛司、荒川千尋『ねこの先生 川村目呂二』有限会社風呂猫 2010年
驚いたのが、目呂二の描く美人画及びそのフィギュアで、夢二の影響を受けながら、夢二よりはるかに大正昭和モダンの活気や伸びやかさを感じさせる、とてもかわいい造形でした。この感じが、まさに僕が父母からも感じ、手塚にも感じる昭和モダンの「明るさ」でもあります。
また、目呂二はフェリックスも作っており、戦後昭和25年にややその影響を感じる「JAZZMANEKI」も作ってます。残念ながら、これは試作にとどまったようです。でも、このセンスはいいですねえ。若干、カルピス的な黒人表象の影響も感じる。JAZZですからねえ。
というわけで、いろいろな方と交流できて、収穫のある出張でした。収集家の則武さん、学芸員の長井さん、ありがとうございました。