久々に基礎固めの練習サイクル
しばらく前に128式もあと少しで全体、というあたりで、いったん休止。今月からは、龍形の基礎掌法をみっちり復習する過程に入った。
このところ、88式~128式など、相当ややこしい練習が続いて、高度な体の使い方と、熟年には厳しい記憶力が必要とされてきた。とにかく毎日復習しても、なかなか全部の動きをきちんと憶えられないのだ。とりわけ128式の複雑さはただごとではなく、おそらくこの間に八卦掌に入ってきた人は、相当めんくらって、足が遠のいた人もいるだろうと思う。ある程度、下半身を使った全身の動きができるレベルにないと、手足の動きや順番を全部憶えるのは至難の技なのである。
というわけで、僕としても基礎に戻って、体がほっとしている。が、予想通り基礎練習の理解と体の感覚のレベルが変わっており、その分、ある意味難しく、さらにしんどくなっているのであった。このサイクルは、過去に何度か経験している。練習が進み、いや、俺こんなに複雑高度な練習しなくてもいいのだが、などと内心で愚痴りながら何とかついてゆき、ある程度やりこむと、基礎に戻るのである。すると、不思議なくらい自分のレベルが変わっているのがわかり、きつくはなるのだが、自分が確実に進歩しているのがわかって、驚くし、心底嬉しい。
正直、初心者には大変なプロセスがいったん終わり、基礎過程に戻ったので、あらたにやってみたいという人には、始める絶好の時期なのである。いや、ほんと。
で、今日は単換掌、双換掌と順勢掌をやったのだが、何度か注意された。前からいわれることでもあるが、「リラックスするのとギブアップするのは違う。リラックスはしなければならないが、タイトでもある必要がある。それを同時にやるためには、胸を落とし、上半身の力をすべて下に落として集めなければならない」のだ。とはいわれても、なかなかリラックスとタイトを同時に実現するのは難しい。何度か練習をみてもらううち、あるとき瞬間的にドンと力が下半身に落ちた(なぜか、先生に見てもらっていると、ときどき驚くほどはっきりとできることがあるのだ。なぜかわからん)。李先生から、「それだ!」といわれ、何とかその感覚で続けるように努力したのだが、これがまたむちゃくちゃに足腰つらいのだった。正直、早く練習終わらないかな、と思ってしまった。でも、何となく今後の練習の課題がクリアになった気がする。
休憩時間に李先生いわく。
「練習があまりうまくいかないときも、うまくいくときもある。が、今日はうまくいった、よかった、ですませてはいけない。レベルが一定程度進んだら、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのかを、考えなければいけない。夏目さんの単換掌や走圏に、外側からみてとりたてて問題はない。うまくできている。でも今の夏目さんの問題は、体の内側の感覚の理解がクリアじゃない、ということだ。それは練習量の問題とかではなく、理解の問題なのだ。重要なのは、二つ。一つは、「神」(Spilit)と体の動きが一致すること、もう一つは体の外と内が一致することだ」
こういうことをいってくれる老師に出会えたというのは、じつに幸運というしかない。精進するしかないではないではないか。多謝。