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夏目房之介の「で?」

土曜の李先生体験教室と「精神」の問題

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土曜の午後、李先生の体験教室に行った。体験教室は、基本、一度体験してみたい人、初心者の人向けの教室で、いつもは龍形走圏と単換掌で1時間半とか2時間弱やる(じつは練習の進んでいる人ほど、この基礎がキツイのだが)。

が、5日は雨模様で気候が不安定な上、集まった人はみんな講習会にも参加している人たちだった。こりゃ、何かあるかな、と思っていたら、案の定、李先生はいきなり鷹形走圏から始めた。例によって李先生は、気候の不安定なときは、それなりの練習をしなければならない。冬は熊も蛇も冬眠する。他の練習をするのがいい。鷹は冬でも活動するので、今日は鷹をやる。こうして環境にあった練習をすることで、自分自身の環境が外の環境に影響されないようにすることが重要なのだ、という。
鷹形は、ずいぶん前にさわりみたいにやった気がするが、ちゃんとやったのは初めてかも。

鷹形は、両手を鷹の翼のように広げる。普通にやってみればわかるが、それだけでは別に何ということもない。その姿勢で歩いたところで、負荷がかかるような感じはしないだろう。ところが、始めてみたらびっくり。左右にまっすぐ両腕を伸ばし、かつ走圏の基礎である含胸(胸を虚にして落とす)亀背(背は開いてへこませない)を行いつつやると、肩甲骨のあたりがひっぱられ、信じられないほどキツイんである。

最初はもう声が出るほどしんどくて、腕を上げているのがむちゃくちゃ辛かった。おそらく練習の進んでいる人ほど辛かったと思う。しばらくやっているうちに、何とか背中が開き、辛いものの、持続してできるようになった。それにしても、鷹形の意識というのは、なかなかに「高い」感じのするものである。意識が上に引き上げられる感じがするのだ。

さて、その後やはり龍形と単換掌の練習になったのだが、李先生から龍形の注意を受けた。自分では(特に李先生の前では)上半身を捻っているつもりなのだが、手だけ向いているという。「疲れると戻ってしまうのかも」といったら「疲れではない、精神で行う力がまだ足りないのだ」という(例によって英語なので自信はないが)。「形とか動きとか技術ではない、理解(understanding)と考え方(idea)が重要なんだ」といわれ、こうするのだとやってみせてくれた。

李先生の龍形は、いつもの通りなのだが、いいたいのは精神(spirit)で上半身を捻るのだ、ということだというのがわかった。それでやってみると「さっきよりいい」といわれたので、間違ってはいないみたいだ。ところが、これまた驚いたことに、この精神の集中を持続するのがえらい難しいのだ。正直、二周もすると集中がそれてしまう。なるほど、気血の充実がなければ、こういう精神の集中力もできないのだな、としみじみ思った。僕にとっては、新たなレベルへの挑戦ということかもしれない。

追申
鷹形に関しては八戒さんのブログもご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20100123/p1

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