オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

古今亭志ん朝

»

昨夜、観るものがないので、ふと思いついて「老後の楽しみ」(笑)に買ってあったDVD8枚組×2セットの志ん朝全集から「寝床」を観た。いやあ、やっぱり志ん朝いい。でも、できれば「寝床」のサゲまで聞きたかった。が、途中でスッとサゲてしまった。う~ん、もっと聞きたい。で、つい続けて「鰻の幇間」も観て堪能。結局、寝るのが遅くなってしまった。

本日も、続けて「五人廻し」と「百年目」を観る。いいね。うまい。「五人廻し」は、ヘタするとイヤな味になる噺だが、勢いよく、さっとやっている。「百年目」は、長年勤めた堅物の一番番頭の小言が続き、じつはその番頭が裏で遊び人で、芸者、幇間をあげての花見の最中に主人に出くわしてしまう、なかなかよくできた噺。

じつは「百年目」を、僕は6代目三遊亭円生の実演で観ている。説教臭い芸風に合って、じつに感動的だった。最後に、主人が番頭を諭しながら、同時に褒め上げ、これまで番頭の働きに頼ってずるずると店を持たせてやらなかったことを謝るところなんぞは涙が出た。円生の醍醐味を感じる一席だった(やっぱり、志ん朝は若旦那がいいよね)。

それがあるために、もちろん志ん朝も面白いし、うまいのだが、あの感動をかえって思い出してしまった。落語はいいなあ。自分の人生で、円生、小さん、志ん朝、談志、小三治と、凄い噺家を実際に聞くことができたというのは、ホントに幸せだなと思う。
でも、多分もっと上の人は、僕がほとんど音源しか知らない志ん生、文楽の実演を知ってるわけだからね。そういうもんでがすよ。

Comment(0)