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夏目房之介の「で?」

「タイムスクープハンター3」7「風になれ!マラソン侍」

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安政2年、安中藩、幕末に入る危機感の中で藩士の鍛錬として、一度だけだが一種のマラソン=「遠足(とおあし)が行われたという歴史の話。まずびっくしりしたのは、走る侍役の人たちが、ほとんどカツラではなく実際に月代を剃って髷を結っていたこと。こだわったなあ。
それにしても、二刀をたばさんで(刀、重いぜ! 左側だけだしね)、碓氷峠を越えて標高差千キロ以上を駆け上る訓練なんて、さすがに当時の侍(ただし50歳以下)は身体能力高かったんだろうか。そりゃ、黒船見に江戸から走れるわけだわ。
途中、飛脚からいわゆる「ナンバ走り」を教わる侍が出てきたり、面白かった。その説明で、西洋型の現在の走り方は手と足が左右逆になって体を捻るが、江戸時代までの普通の歩き方である「ナンバ」系と呼ばれる走法は捻らない。番組での説明は手足が左右同じ方向に出る、といっていたが、正確にいうと、じつは下半身の動きに対し上半身は動かない。番組では、現代の走りは中心軸が一本でブレないが、「ナンバ」では左右2軸だとしていた。この説明にも一理はあり、だから後者は山道でもバランスを取りやすいのだろうが、中心軸がブレないという意味では同様なはずだ。じゃないと、武士の動きは不安定になってしまうからね。
でも、番組の走者たちはなかなかうまく走っているように見えた。現代の人たちは、両刀たばさんで、そうそううまく山道を走れないんじゃないかな。相当訓練したんだろうか。まあ、実際に同じ距離を走ってはいないだろうけど。

https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20110630-21-19740

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