『深夜食堂』と『のんき図画』
だいぶ前、人にすすめられていた安倍夜郎『深夜食堂』1(小学館)を読んだ。ビッグコミックオリジナル連載。
http://www.bigoriginal.shogakukan.co.jp/midnight_dining/
面白い。ワケありそうなオヤジのやってる夜12時から朝7時までの食堂が舞台。ただひたすら、そこにくる客が次々描かれる。客の望むもので、主人が作れるものなら、エスカルゴはないが、タコの形の赤いウィンナーでも、一晩置いた冷えたカレーでも、かつぶしご飯でも、キューリの糠漬けの丸ごとでもある。あとは、そういうメニューにあわせた客たちの、ちょっとイイ話や、ホロ苦い話、にやりとする話などが続く。別に格別新しいところがあるわけではない。よくあるパターンといえば、それまでだが、よくできている。絵も簡潔で、いい味がある。(2)も読もう。
正直、最先端やとんがった表現は、だんだんどうでもよくなってきていて、こういう、いつ読んでもホッとするのがありがたい年代になったのかもしれない。疲れてる人向きかも。でも、「どってことないけどホッとするマンガ」も、ちゃんとあるところが素晴らしいと思う。
追伸
今、2巻を読んだ。やっぱり面白かった。で、書き忘れていた。旨そうなんだ。
秋刀魚の塩焼き、オニオンリング、肉じゃが・・・・。夜中に読むと腹が減る。う~・・・・。
南伸坊『のんき図画』(青林工藝舎)も、ホントに肩の力の抜けきった絵本で、寝る前に読む・・・・つか眺めると、安眠できるタイプの本だ。南さんが昨年開いた個展の作品に短い文をつけて本にしてある。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32114461
まえがきに、いきなりこうある。
〈ぼくはおじいさんになった。
ことし、ろくじゅういち。
おじいさんになったら
のんびりくらそうと思ってたけど
なったらそうでもない。〉
う~ん、同じだ。こういうこと、スッと書けちゃうとこが素敵だ。
糸井重里さんは、あとがきでこう書く。
〈伸坊のことを、
うちの若い人たちは「かっこいい」という。
すこしも逆説的にいってるのではなく、
「かっこいい」といっているのは、よくわかる。〉
そうだと思う。僕もそう思うしね。
いいなぁ、こういう絵本描けるって。
こういう本があるのも、じつに素晴らしいなあ。