花園大07後期集中講義2
2)海外から考える マンガとMANGA
東アジアでは昔から海賊版で日本スタイルが普及 →80年代からアニメ経由でブーム →経済成長とともに産業化(韓国、台湾、香港など →日本・アジア型マンガ?
図2 中国の(日本型)マンガの描き方入門書 日本漫画研究会編著 遠(簡体字=しんにゅうに元)方出版社発行 『聯並漫画技法教程 故事漫画制作篇』2004年 18元 20~21p 学生服のキャラクターたち
図3 同上 94~95p 読みやすいコマの構成法
図4〈現実の動きは予想以上に早い〉(前掲『差別と』 21p 吉村)米マンガ入門書
↓
現在のアメリカでのMANGA
米国産マンガ(非日本人によるマンガ=MANGA)の市場開拓
2002年TOKYO POP新人賞設定 →05年頃から増える
(椎名ゆかり ネットサイト「英語でアニメ・マンガ!」主宰
図5 Svetlana Chmakova 『DRAMACON』一部コピー(セリフ翻訳 椎名ゆかり)
米国におけるOEL(Original English Languege)マンガ、ワールド・マンガの成立と議論
「マンガは日本人が描いたものだ、日本人以外が描いたものはマンガではない」
「ピッツァはイタリア人が作ったものでないとピッツァといわないのね?」
かつて日本でもジャズやロックは日本人にはできないとマジメに議論していた
大衆文化の世界越境性 ビートルズの世界化現象
米国では、コミックの流通制度を日本のマンガが変えた(一般書店の「グラフィック・ノベル」や米版「少年ジャンプ」のオモチャ屋ルート
日本マンガ・アニメの世界市場における特徴は何か?
01) ハリウッドやディズニーなど米世界商品に対抗するカウンター文化
02) 『ポケモン』や東アジアでの『ドラえもん』をのぞけば、おもに十代思春期層を掴むメディア
03) 女性が女性に向けて描く世界的に特異な少女・女性マンガ(アニメ)の存在(市場的には小さいが、深い影響力・浸透力をもつ?
04) エキゾティックでクール、わかりやすく、しかも多様という印象
● マンガという現象の外延はどこか?
● 日本国内だけで考えていると思いもつかない問題を海外から発見する
● 「マンガとは何か?」の「問い」そのものを問う
● 「問い」そのものも、問う人のいる社会・文化の文脈に置かれている
図6 FELIPE SMITH 『MBQ』1 TOKYO POP 2005 36p
図7 同上 2 130~131p ポケモン、セーラームーンとスーパーマン
図8 同上 178~179p 集中線
米国製マンガ・スタイル FELIPE SMITH 『MBQ』1~3 2005~07年 椎名ゆかりプロデュースにより日本デビューを狙う
※フランス人(ドミニク・ヴェレ)に見せたら「『HELLBOY』を描いたマイク・ミニョーラ[図9]に似てる」といった。僕は江川達也っぽい線や造形が入っているな、と思った。 いずれにせよ、講談社「モーニング国際新人漫画賞」など、国籍不明な作品が今後は増えてゆくのでは?
モーニング国際新人漫画賞
図10 図5 rem『影の祭』 講談社「モーニング2」07年12月1日号 第一回国際新人漫画賞大賞受賞作
●じつは、大衆社会の大衆向け娯楽媒体として発展してきたマンガは、もともと歴史的に見ても変幻自在の越境性の高い現象である。
●だから「マンガとは何か」を概念の本質論として規定しても、あまり意味はない。むしろ、それがどんな意味で、ニュアンスで使われたかを、文脈として理解したほうが誤差がない。
休憩