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夏目房之介の「で?」

映画『300』を観た

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これ、コミック原作だが、原作のほうは見てない。そのかぎりでいうと、コミックの画面や展開をかなり一生懸命映像にしていて、映像や演出、特殊効果はほとんどのそのために使われている感じがする。もともと『シンシティ』みたいなコミック的映像感覚が観たくて借りたのだが、まぁその意味ではそれなりによくできているのかもしれない。ナレーションで映像を叙事詩風に見せてゆく古典的な作りで、映像はしばしば「止め」とスローモーションで「画を楽しみ」ようにしくまれている。
ただ、シリアスで重く作られているので、単純なお話とモティーフが「自由と正義と勇気」ではなくて、僕にはほとんど「愚かさと傲慢と殺戮」にしか見えなかった。最後まで不快な印象で、もっと率直にいうと、ブッシュの妄想を見せられた感じがする。まぁ個人的な印象だけど、僕にとってはデキがどうこういう以前に凄くイヤな映画だった。

Comment(3)

コメント

boxman

『300』は向こうでも「ブッシュ政権のプロパガンダ映画」、「制作、公開自体がCIAの肝いり」とかって陰謀論的な評判がある映画ですが、実際には「911」のはるか以前に描かれた原作自体があのまんまの話なんで、わざわざこの時期にこんなもんつくるのは無神経って評価はありだと思いますが、つくってるひとたちには「ほーらこんなに原作そっくり」という以上の意図はないんだろうなあ、と思ってます。その無邪気さが問題だって気はしますけど、それよりこの監督いま『Watchmen』つくってるらしいんで、そのことのほうがはるかにブルーです。

>boxman
さん僕も「原作そっくり」が意識されたモチーフで、意図的なプロパガンダだとは思わないんですが、かの国のイデオロギーをまんま映しているという意味でうんざりしますね。欧州=古代から文明(ギリシャは欧州じゃないけど)で、アジア=未開で野蛮(むろん実際は古代では逆)っていう思い込みとか。あと、いくつかのセリフ(字幕)が、911を意識したかのように読めました。
>漫棚通信さん
>IRIBのラジオ日本語サイト
なるほどね。これはこれで、ちょうど裏返しのイデオロギーですね。

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