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夏目房之介の「で?」

『ナンだ!?』最終回

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さっき、チャンネル変えたら、途中から謡の先生か何かが、骨盤の話をしていた。
でも、最終回ナンだ!?。けっこう面白かったのにな、ちょっとマニアックだったかな。
4スタンス理論とか、売れたのにね。

 http://www.tv-asahi.co.jp/nanda/contents/Nextoa/cur/index.html

骨盤で面白かったのは、骨盤底にも横隔膜があり、その先生のいうには、骨盤底の膜と胸の横隔膜を連動させて声を出すと響くらしい。そのパワーを、声を出しながら片手で持った新聞をもう片手で殴って破る、というのをやってた。まぁ、案外これはタイミングで破れちゃうだろうとは思うが(ちょっとやってみたら声も出さないのに、わりと簡単に破れた)、二つの膜を一緒に使うことによって、カラダ全体を使えるのだ、という。そういうのは、ありうるなと思った。
いわゆる丹田なるものも、この二つの横隔膜の間、骨盤の形態からくる卵型の内へ向かう力を構造的に作り上げることなんだろう。
もうひとつ、背中の肩甲骨の間に背骨と肩甲骨をつなげる筋肉があり、これが硬いと腕が前に出ずにとまってしまうというので、腰から前に折れてダランとし、その筋肉を緩めると、緩めたほうの腕が見た目にどんどん長くなる、というのもやってた。これも、上半身を緩めることで、背中の上部をリラックスさせつつ開くと、腕に力を入れずに通じる状態が作られるという龍形を連想した。

ほんの少しだが、長刀を使った能の舞をやっていたが、これはもう古武道系の、というか八卦掌なんかとも通じる「まとまった全身を腰中心に動かす、下重心の動き」そのもので、なかなか面白かった。

もうひとつ面白かったのは、為末大の骨盤話。彼は骨盤の傾きが欧米人と日本人では違うという。欧米人の骨盤は前に倒れかかるように傾いているので、腿上げをすると途中で止まってしまうのだという。日本人は骨盤が垂直に立っているので腿上げが得意で、その場で高く上げて足踏みしていられるが、欧米人はそれをやると、前に足が出て少しずつ前進してしまうのだそうだ。また、そういう構造なので、欧米人は腿を下に落とすだけで大きな前進のパワーが出せる。日本人は、前に倒れこむようにすると楽に前進できるとか。それ、今のあたしの歩き方じゃん。
為末によると、骨盤の美しいアスリートはカール・ルイスと朝青龍。
カール・ルイスは、骨盤がゴムマリのようになって、足をぽぉんとはじくように下へパワーを伝える、というような意味のことをいっていた。朝青龍は、塩をまくときにすでに、体と足、腕がまるで一体の面のように同じに動く。ふつう、どんなに鍛えても、腰を中心にねじれが出て、腕や足がばらりと別々に動くのだが、それが一体化して動く。「あそこまで固められると、すごい」といっていた。
これも、今僕らがやっているのと同じで、体を一体化してまとめて動かせるようになることで、大きなパワーを安定した状態のまま出せるようになるという課題そのものだ。それをゴムマリのような柔軟な力として出すために、丹田の鍛え方が関連するのかもしれないな。なかなか示唆の多い番組であった。

最終回かー。残念だな。でも、5年もやってたんだね。お疲れー。

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