オルタナティブ・ブログ > 成迫剛志の『ICT幸福論』 >

”情報通信テクノロジは人々を幸せにする”を信条に、IT業界やアジア・中国を見つめていきます。

COP15に見る中国の交渉力

»

コペンハーゲンで行われていたCOP15(気候変動枠組み条約第十五回締約国会議)が終わった。 交渉は難航し、なんとか決裂だけは避けた形で閉会した状況である。
先進国 vs 中国 という構図で報道されていることが多かったように思われるが、ここで中国がどのような主張、発言をしてきたのかを整理してみたい。

<現状の定量的把握>

・大気中に現在含まれる温室効果ガスは80%が先進国が排出したもの。中国の排出分は、残り20%のさらに一部分に過ぎない。

・中国の人口は13億人であり、1人当たりの排出量では先進国に比べてきわめて小さい。

・中国の単位GDP当たりの温室効果ガスの排出量は2005年比で13%低減。2010年には15%低減の計画。二酸化炭素に換算して15億トン以上を減らした計算であり、この規模は、どの国と比較しても見劣りしない。



<中国の取り組み>

・2020年までに国内総生産(GDP)単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を05年比で40~45%削減する行動目標を発表。

・目標達成のため、再生可能エネルギーや原子力エネルギーへの積極的な転換を図る。

・中国はいかなる資金援助も技術援助も得ることなしに、実際の行動に着手している。

・中国は、自主的な排出削減行動について、他国や国際機関の観測や事実確認を受け入れない。

<孤立化の回避>

・経済成長に伴って温室効果ガスの排出が急増しているブラジル、南アフリカ、インド、中国が、新しいグループ:「BASIC」を発足。4カ国の頭文字(南アフリカは「SとA」)を並べた。

・京都議定書で削減を義務づけられていない4カ国を含む途上国に対し、先進国が一定の削減を求めていることへ抵抗。


いろいろな分析・意見があると思うが、どちらかといえば『直球勝負』で判りやすいのではないでしょうか? 物事をシンプルに考え、シンプルに主張し、シンプルに行動しているように思えます。
ただ、既に『大国』であるにもかかわらず、『大国』と『途上国』を都合にあわせて使い分けているところが、シタタカです。

自国内の政治駆け引きのために一貫した対外主張ができないどこかの国と比べてみると興味深いです。

Comment(0)