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「使いやすく」「ハマる」技術とは! それは・・・

「シリアスゲームの現状調査報告書」を読んで感銘・共感・衝撃を受けた言葉

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今回は、「平成19年度シリアスゲームの現状調査報告書」(財団法人デジタルコンテンツ協会)
を読んで、感銘・共感を受けた言葉をご紹介しよう。

そこで、まず日本では聞きなれないシリアスゲームとは何か?
シリアスゲームとは、デジタルゲームを利用した社会問題解決のアプローチである。
エデュテインメントと違うようだ。

エデュテインメントとは:
エデュケーションとエンターテインメントを組み合わせた造語。
エンターテインメントの発想や方法を取り入れて、教育の楽しさを高めようと言う考え方である。

特にアメリカではシリアスゲームという言葉は定着しているようである。軍事訓練や消防隊員の育成に活用されている。

前置きは以上とし、今回はシリアスゲームを考察するのではなく、シリアスゲームに関してインタビューされた時の著名人の言葉で感銘・共感を受けたものを紹介していく。

では、調査報告書の「6.シリアスゲームのフレームワーク考」から抜粋していこう。

・脳の活性化理論をやった時に、いわゆるターボチャージャーみたいな仕掛けがあるという話がありました。それが何かといったら、「褒められること」です。その「褒められる」あるいは「認められる」というのは、非常に意外なことに、TV画面で褒められても、実はその効果は得られるわけです。(立命館大学教育開発支援センター教授 陰山英男氏)

・これはないものねだりですが、あの頃、ゲームに没入できたというのは、プレイヤー側の想像力も使わないと、物語の辻褄が合わないということがいえたのだと思います。それはグラフィックとか、容量の問題で、当時はそこまで表現できなかったので、逆に、プレイヤー側がとぎれている部分を想像しないといけないということがあったと思いますが、今はゲームがいろんな意味で完成されているので、こちらとしては「見せていただく」みたいな感じになっていますね。(精神科医 香山リカ氏)

・「脳トレ」も、それ以前にPDAなどでソフト化されていましたが、ほとんど話題にはなりませんでした。しかし、任天堂が手がけた「脳トレ」のニンテンドーDS版は、たとえ問題などの中身のコンテンツは同じでも、ボタンを大きく配置したり、点数ではなく”脳年齢”という評価基準を設けたりと、いかにユーザーを熱中させるかというゲームのノウハウを、緻密につぎ込んでいました。だからこそ、勉強やゲームに興味のない人たちにも、受け入れられたんだと思います。(立命館大学教授 サイトウ・アキヒロ氏)

・一つ言えるのは、教育、福祉、政治、経済といった立ち位置の方が作ったシリアスゲームでは、商業的に大きなヒット作は実現しにくいでしょう。そこにゲーム屋のノウハウがあって初めてできることというのが、いっぱいあると思います。インタラクティブにかゆいところに手が届くようなフォローを入れたり、心地よいテンポで進めたり・・・。適正な難度、経験値の度合い、何かを達成する為に褒められるタイミング・・・こういうのは全部、ノウハウとしてゲームメーカーが持っている。
ですから、教科書の会社とか、お勉強の会社が作ったエンターテインメントは、「ゲームとしてのノウハウ」がないままに、ただただ勉強をさせようと思って作ったから面白くないのだと思います。その部分を間違えると、人の心を動かすことにならないでしょうね。(株式会社エンターブレイン代表取締役社長 浜村弘一氏)

これらの言葉は『スマートIT』術の考えに通じるものがある。
やはりこれからは、『スマートIT』術として提唱している要素(「使いやすく」「ハマる」技術)
の組込みが要求されてくると感じている。
この要素の組込みは誰でもマニュアル通りに出来るものではない。それにはセンスが必要となってくるであろう。

最後に、これは感銘ではなく衝撃です。
新指導要領により増えた学習内容量が陰山氏でも驚かれたようである。そして、今後10年間入ってくる新教員たちは、ゆとり教育全盛時代の、新指導要領の内容をまったく学習していない世代なのである。

◆参考文献
平成19年度シリアスゲームの現状調査報告書(財団法人デジタルコンテンツ協会)

シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム

◆関連エントリー
ICT教育エントリー

『スマートIT』術エントリー

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