TOPの皆さんへ中小企業の新卒採用成功のカギはスケジュール管理にあり
タイトルを目にして「???」と思った方が多いのではないでしょうか。
採用の世界では「採用力」=「企業力」×「採用活動」×「採用予算」とよく言われます。
どれかが2倍になれば、採用力は2倍になりますし、どれかがゼロになれば、採用力はゼロに
なってしまう、という考え方です。
中小企業からしますと企業力では巨大な大手企業にはかないません。
かつ、企業力は急に大きくすることは出来ないので、学校訪問や会社説明会の開催などの「採用活動」量を増やし、
「採用予算」を可能な限り投下し、採用広報を充実させることで、多くの企業がいい人材を確保しようとしています。
これらは大切なことですし、決して間違いではありません。
しかし、それ以上にまず注力しなければいけないこととして「採用活動はやるべきときにやるべきことをきちんとやる」があると思います。
今回は、採用活動において、いかにスケジュール管理が重要であるかについて述べたいと思います。
●営業が約束の日にお見積もり書を出さなければ失注する。
取引先の営業担当が約束を守らなかったり、期限までに見積もり書を提出しなかったら、あなたはどうされますか。
おそらく取引の話を白紙にして、別の会社に発注することを考えるでしょう。
採用もそれと同じです。
学生に自社の魅力を伝え、しっかりと理解させ、自社に合った人材を入社へと導くための営業をしているのが、採用担当です。
ですので、営業と同じようにスケジュールをしっかりと管理することが求められるのです。
そのスケジュールを守らないと学生が別の企業への入社を考えてしまいます。
ただ、スケジュールを守らなかったとしても学生からクレームを言ってくることや営業と違い、
上司にそこまで細かいスケジュール管理をされているケースはあまり無いので、スケジュールを守らなかったことが
学生が他社に逃げてしまった真の理由だったとしてもそれが明らかになり、問いただされることはありません。
私はこれを「見えざるミス」と呼んでいます。
中小企業の場合、採用担当の方々は総務も兼任している方々も多く、忙しいのはわかりますが、
その後回しが採用不成功のとても大きな要因になっていると思います。
採用活動=営業活動、なのです。
営業活動には日報が存在している会社も結構あるのに採用活動には日報が存在している会社がほとんどないのは
何故でしょうか。
じゃあ、即座に日報をつけましょう、とまで申し上げるつもりはありませんが、マネジメントサイドの皆さんは
営業活動と同様に採用活動の管理手法についても考えるべきではないでしょうか。
●「やるべきときにやるべきことをきちんとやる」ことの意味。
スケジュールでは、今日中に学生に次のステップの案内の連絡をするとなっているのに、
忙しさを理由に何もせず、3日後に連絡をしたら、半数近くの学生が次のステップに来なかったといった話はまま聞く話です。
「3日遅れたといっても他の仕事で手が回らず、かつ土日を挟んでいるし、まだまだ企業の魅力が足りないからに違いない」という結論を
出してしまう採用担当の方々もいるように思います。
しかし、真の理由は当初、電話をする予定だった日の翌日にライバル企業から学生にフォローの電話が入り、
学生の気持ちがその企業へ動いてしまったことが原因だったのです。
スケジュール通りに連絡を入れていれば学生離れは防げたはずです。
会社説明会には数十人の学生が集まるが、その後の面接に来る学生が数人になってしまうという悩みを
持っていた企業がありました。
そこで、会社説明会を行った日の夜にお礼のメールを送ることを徹底したところ、
説明会に来たほとんどの学生がその後の面接に来るようになりました。
採用活動は小さな細かいことの積み重ねです。
「やるべきときにやるべきことをきちんとやる」ことはとても重要なことなのです。
コンサルタントとして企業の採用をお手伝いさせていただくことが多々ありますが、
コンサルタントの大きな仕事の一つに「ご提案させていただいたことがスケジュール通りに
やってもらえるかどうかのスケジュール管理」があると真面目に思っています。
優秀なコンサルタントは採用担当者の業務ボリュームを見ながら、上手くスケジュール管理を
することが出来る素養が重要であると思います。
結果、時には採用担当の方に進言させていただくこともその企業の採用成功の為にとって
重要な仕事の一つであると思います。
採用が成功すれば、結果、採用担当の方の社内での評価も高まる、ことを思いながら。
採用活動は生き物です。
どんないいご提案も導入すべきタイミングを逸すれば、ただの「絵に描いた餅」です。
●スケジュール管理をしっかりすれば、採用活動はそこまで長期化しない。
中小企業の採用活動の悩みの1つになかなか人材が確保できないために結果、採用活動が
長期化してしまうということがあります。
採用活動の長期化は採用担当の方々の体力も奪いますし、毎年ギリギリまで採用活動をすることになり、
次年度の採用計画を立てられないまま、また翌年の採用活動へ突入していくという負のスパイラルを生み出し続けます。
しかし、それもスケジュール管理が完全に出来きれていないことに一因があるように思います。
以前、弊社のお客様で弊社が●月●日にやってくださいね、とご提案させていただいたことをお客様のほうで
実際におやりいただいた■月■日との差異を1年かけて見たところ、なんと2ヶ月間の差異が出たことがありました。
言い方を変えますとやるべきことをやるべきタイミングでおやりいただけず、2ヶ月間後ろ倒しにしていた、ということになります。
スケジュールに沿って確実に「やるべきときにやるべきことをやる」を実践すれば、
採用活動の結果がいい方向に変わってくるのを過去たくさん目にしてきています。
その結果、気持ちに余裕持って内定式を迎えることが出来ますし、今年の反省点を踏まえて、
余裕を持って次年度の採用計画を立てることが出来ます。
その結果、だんだんと良のスパイラルへと採用活動を変えていくことが出来ます。
今回は問題提起の意味合いもあり、あえて少し偏った考えを述べてみましたし、
勿論、きちんとスケジュール管理をして大きな成果を出している中小企業の採用担当の方々も
たくさんいらっしゃいます。
特に中小企業のTOPの皆さんにとりまして、何かのご参考になれば幸いです。