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ミスなく話す方法

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最近、とても素晴らしいお話をなさる方を見ました。

安里要江(あさととしえ)です。

安里さんは、1920年、沖縄県中城村に生まれ、現在93歳。
平和の語り部として全国を巡っていらっしゃいます。

安里さんは、沖縄戦で夫と二人の子供を死別。
戦火を逃れた洞窟で、幼いお嬢さんは安里さんの腕の中で亡くなりました。

その壮絶な体験を語っている安里さんの声が素晴らしかったと思いました。
93歳といえば、声もしわがれてしまって、しっかり発声できない人も多い中、安里さんの声は、ハリがあって良く通り、若々しいのです。
さらに、よくある「あー」とか「えー」とか言った余分な言葉もなく、滑舌も良く、つっかえたりなどの間違いもありません。

安里さんは、幼稚園の先生をなさったあと、北中城村婦人会会長、沖縄県婦人連合会理事をつとめるほか、76~86年の10年間、中頭郡中部地区婦人連合会会長として活動。1986年より98年まで北中城村議会議員を3期12年務めるなど、圧倒的に人前で話す経験が豊富で、技術も習得された方だったのです。

しかしそうは言っても、安里さんの声は単なる経験や技術だけではありあません。二度と悲惨な戦争をしてはいけないという使命とパッションがあって、心に強く訴えかけてくるのです。
上手とか下手とかいったものを越えて、心の底から、魂からの叫びがこみ上げて、押さえきれないものが溢れ出て話している、といった感じを受けました。

子供の時、あるピアニストの公開レッスンに行ったことがありました。
最後に、質疑応答の時間があり、あるお母さんが質問をしたのです。

「うちの子はミスが多い。音をミスしないで弾くにはどうすればいいのでしょうか?」

そのピアニストはこう答えました。

「心を込めること。心からピアノを弾けばミスもなくなります」

私は、安里さんのお話を聴いていて、このピアニストの言葉を思い出してしまったのです。

安里さんの言葉は、魂からの言葉。
だから、余分な言葉もない。間違えようが無い。

技術をマスターすることも大事ですが、その前にもっと大事なものを持ち続け、育てることが大事だと思いました。


安里要江さん。達人です。

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