高貴な人は黙って義務を果たす
元ブリヂストンの創業者・石橋正二郎の長女で、元総理大臣、鳩山一郎が義理の父であり、また、鳩山由紀夫さんと邦夫さんのお母さんでもあった鳩山安子さんが2月11日、90歳でお亡くなりになりました。
息子さんたちへ多額の政治資金を用意されたということで、政界の「ゴットマザー」ともよばれておられたようです。
昨日、以前邦夫さんの秘書をなさっていて、現在はジャーナリストである方が語っておられましたが、「安子さんに会った人全員『ゴットマザー』などと思わないでしょう」と言っていました。
国民の皆さんのおかげで一族が政治の世界に入らせていただいているという考えから、移動はすべて電車やバス。食事も質素で一汁一菜。いつも地味な格好をなさって庭のお掃除をしていたことから、秘書がお手伝いさんと間違えてしまうこともしばしばあったそうです。
また、様々なところに高額な寄付を行っていましたが、それも名前を知られないように匿名でなさっていたのだそうです。
一般的に言われている姿と、元秘書の方が語られた言葉には落差がありました。
政治的な裏の世界は分かりませんし、金銭感覚の違いも確かにあったのかもしれません。
ご自分の資産を使っても、国を良くしようというお志が基本にあったのではないかと想像します。それはそれでご立派な行いだったのではないでしょうか。すでに亡くなられて、もう何も語られないお立場ですが、日本のために尽くしてくださったのではないかと感謝の気持ちが沸き起こりました。
「私は良いことやってますよ!」と声高に言わず、世間で騒がれたことに対しても、弁明することなく黙って受け入れていらっしゃいました。きっと様々なものが見えておられたのだと思います。普通はエゴが邪魔をして、なかなかここまで出来ないのではないでしょうか。
私が長年お世話になった指揮者のY先生から、よく鳩山家に行かれていたお話しをうかがっていましたので、鳩山安子さんがお亡くなりになったニュースを聞いて、いろいろなことを思い出していました。
これは、ビジネスでも、文化でも、どんな世界にもあることです。
お金があるからとかないからとか関係なく、黙って高貴な義務を果たしていかれた方々がいることを気が付いていけるようになりたいと思いました。