普通にロングトーンをしているだけでは同じ音を出しているつもりでも音がだんだん下がってしまう
ゆっくりの作品を歌うというのは本当に難しいものです。
なぜかというと、ゆっくりということは「音を長く伸ばすところが多い」ことや「間をとったり、タイミングをとることが難しくなる」からです。
2012年11月24日、私が運営・指導を務める合唱団「コール・リバティスト」の練習がありました。
この日はマエストロがいらっしゃっての稽古でした。
(マエストロとは本番を振る指揮者ことです)
佐藤眞作曲の混声合唱のための組曲「蔵王」の「樹氷林」は、音は単純ですが、なかなかに難しい作品だと思います。
なぜなら、この作品はゆっくりで、長く伸ばす音が多いからです。
一つの音を長く伸ばすことを、「ロングトーン」と言います。
ロングトーンは、一つの音を伸ばしているだけなのだから、複雑な音をとるより簡単に思えます。しかし、実は素晴らしいロングトーンは、力量がないと出来ないものなのです。
力量のない人がロングトーンをすると、自分では同じ音を出しているつもりでも、なぜかだんだん音が下がって変化してしまいます。
これが不思議と「上がって」しまう人はほとんどいません。合唱の場合は他の音につられて上がってしまうということはあるのかもしれませんが、シンプルにロングトーンを行っている場合においては大抵は下がります。
それはなぜでしょうか。
それは、のばしているうちに横隔膜でのささえがなくなり息が足りなくなるからです。
トレーニングをしている人であれば、支えがしっかりとして、息も長いため、音程を保ちやすいのです。
息が足りなくなれば、張っていた弦が緩むように、音が下がります。
弱音で音が高く長い音ほど下がりやすく難しいというわけです。
「樹氷林」は、弱音主体でしかもロングトーンが多いので、苦労します。
すぐに下がってしまい。ハーモニーが決まらなくなるのです。
この日は、「樹氷林」のテンポを少し速めに練習しました。
そうすると、少し歌うのが楽になります。
なぜなら、息が切れる前にすぐに次ぎの音が来るからですね。
最終的にどのくらいまで落とすかは、そのときの力量次第ということでしょうか。
ぜひ、ゆっくりと神秘的な「樹氷林」を表現できるようになりたいですね。
この日は、松下耕作曲「三つの詩篇」より「谷川を求める鹿のように」も練習しましたが、アカペラ最初と最後のアカペラ部分が、急いで聴こえます。息と支えが曲の要求しているテンポに合っていないと、慌てて次ぎのフレーズに行きたいので、すこしあせっているように見えるのですね。
ぜひ、腹式呼吸と横隔膜、そして支えのボイストレーニングを続行していきましょう。
こちらも、「いつ果てるともしれない」ような、悠久のときを感じさせるような演奏にしたいですね。
・・・・・・・・・
【お知らせ】コール・リバティストでは、一緒に歌う仲間を募集中です。
体験レッスンもあります。⇒お申込みはこちら