掛け算/割り算のできる名刺（ただし2～3枚必要）
（これはアドベントカレンダー企画とは無関係のエントリです）
■ネット印刷について
最近はネット印刷が普及しているようです。存在を知らなかったわけではないですし、2年前には自分の名刺をそういう業者に依頼して作成したこともあったのですが、そんなに普及しているとは知りませんでした。たまたま今年、PTAの広報委員になり、PTA広報誌を年2回発行しているという話だったのですが、一昨年までは専門の印刷屋に頼んでいたものの、予算の制約があって昨年は1回分だけネット印刷を利用したということでした。そういう状況のところに、こんなものを作っていた私が関わりを持ってしまったものですから、今年はバリバリにネット印刷を活用して広報誌を制作しているところです:-)
実際、調べてみると、実にたくさんのネット印刷業者があるようで、それぞれの業者の良し悪しなどはまったくわからないのですが、とりあえず「Microsoft Officeの文書をそのまま印刷してくれる」という条件で見つけた「スマプリ」の親会社らしき「グラフィック」というところを使っています（他の業者でも注意書きなどがありますが、Office文書だと“効果”がうまく印刷できないことがあるようです）。
さて、そんな業者のひとつであるプリントパック（テレビCMもしているようです）で、名刺が両面フルカラー印刷、送料込みで470円（100枚）というキャンペーンをやっているのを知り、ちょうど名刺がなくなってきたところだったので慌てて作ってみました。というのも、このキャンペーン、先月下旬に知った時には先月末が締切だったので、あまり時間がなかったのです（その後、今月15日まで延長されたようです）。それが「掛け算/割り算ができる名刺」です。構想15年、デザイン一晩という代物ですが、先日到着しました。
※このキャンペーンでは発送にメール便が使われるため、（京都から）手元に届くまでに3日かかりました（11/29入稿→12/2印刷・発送→12/5到着）。
■掛け算
さて本題です。写真ではわかりにくいかもしれませんが、この名刺の裏側はこんな感じになっています。
この下部が対数目盛りになっています。対数とはlog a×log b＝log (a + b)という性質を持つもので、左辺が掛け算、右辺が足し算としてあらわされています。この性質を使って、何枚かの名刺を使うと掛け算ができるというわけです（ご存知の方も多いと思いますが、計算尺の仕組みです）。
たとえば、12×34を計算してみましょう。
二枚の名刺のうち一枚の目盛りの1.2のところに、もう一枚の名刺の左端に合うように同じ向きで重ね合わせます。そして、その名刺の3.4のところに対応する、最初の名刺の目盛りを読み取るのです。4.0より少し多いくらいだと読み取れます（実際には12×34＝408）。
56×78はもう少し面倒です。位置を合わせると目盛りがはみ出してしまうので、もう一枚の名刺をつなげる必要があるのです（“計算尺”としては半分の目盛りで2回繰り返しておくべきなのですが、狭くなりすぎると思ってあきらめました）。
■割り算
log a÷log b＝log (a - b)という性質により、割り算は対数の引き算で計算できます。掛け算と違って、名刺を向い合わせにします。76÷21を計算してみましょう。
一枚の名刺の7.6という目盛りに、逆向きにしたもう一枚の名刺の1を合わせます。この名刺の2.1に相当する最初の名刺の目盛りを読み取ると、それが答えです（3.619…）。
※除数の方が大きい場合は、やはり計3枚の名刺を使います。
■イラストレーターのデータ
こんな名刺を作ろうと思う人は、あまりいないかもしれませんが、せっかく作ったので Illustrator のデータを公開しておきます（色の枠については気にしないでください）。プリントパックからダウンロードできるテンプレートに書き加えただけですので、他の業者に出すなら、罫線データだけをコピー＆ペーストして使うようにしてください。
※対数目盛りは一般的な名刺サイズ（91×55mm）の横幅に合わせて設定されています。
■重要な注意
ネット印刷に限らないと思いますが、一般に印刷や裁断は、それほど精度が高いわけではなく、数ミリ程度の誤差が生じることもありえます（裁断がずれることを想定したヌリタシと呼ばれる領域が3mm程度確保されています）。その意味で“実用”には向きませんので、あらかじめご了承ください。