頭が良すぎる人はマーケティングに向かない?
マーケティング戦略の方法論は色々とありますが、中でも重要なのは「簡略化」だと思います。
マーケティング戦略を立てる際に検討すべきことは、非常に数多くあります。
例えば、お客様の動向や課題・ニーズ、競合他社の動向、市場の動向や市場規模、その他の様々な外部要因、自社の商品やサービスの現状、予算、自社の全社戦略、等々です。ここに挙げた一つ一つも、さらに膨大な要素が関わっています。
よく「戦略とは、捨てること」と言われますが、この意味するところは、膨大な要素の中で、望ましい結果を得るための必要最小限数の要素(=パラメーター)を見極めて設定する、ということです。
従って、マーケティング戦略で必要なことは、これら設定した要素をどのようにコントロールするのか、シンプルで骨太な戦略を立てることです。
なぜ、シンプルで骨太な戦略が必要なのでしょうか?
マーケティングと学術的研究が決定的に異なる点は、マーケティングは、背景が異なる様々な利害関係にある人達が関与することです。社内のセールスや製品開発、サポートやサービス部門、パートナー様、メディア各社、そして何よりもお客様です。
このような様々な人達と協業してマーケティング戦略を実現するためには、複雑な戦略ほど、協業が難しくなるように思います。
むしろ、数分間話せば概要を理解できる程度まで戦略を洗練化する必要があるのではないでしょうか?
ある投資家は、名刺の裏に自社の戦略を書ききれない起業家の案件には投資しない、という判断をしているそうです。恐らく上記のような考えがあってのことだと思います。
誤解を恐れずに言えば、頭が良すぎることはむしろマーケティングの障害になるのかもしれません。複雑多岐な要素が自分の頭の中で簡単に整理されて理解できてしまうため、マーケティングで必要な簡略化のプロセスを省略しがちだからです。
むしろ、普通の人の感性を持ち、普通の人の目線で理解できる簡略化した戦略を立てられる人が、マーケティングの適性があるように思います。
このためには、普通の人の感性に加えて、複雑多岐な要素を一旦時間をかけて消化し、それを誰でも理解できる内容に省略化できる力が必要になります。これには経験が必要なのでしょうね。