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タイ国の真実らしきもの その55 タイの政治形態 何故過激なデモが起こるのか

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このところ、危なっかしいタイ国ですが、慣れっこなせいか、一般市民は、全く動揺とかしておりません。
でも、実施に行われるデモでは、日本で想像している以上に危険な場合多いのです。
今回は、そこら辺を簡単に説明いたします。かなり、簡略化して説明しています。ご興味があるかたは、いろいろ調べてみてください。

現在タクシン派と反タクシン派の対立が、現在の政治の状況です。
すこしだけ、今までの流れを説明します。

1.現在の首相(タクシン氏の妹)が恩赦法案を通そうとしました。これは、政治犯罪などの刑の者に恩赦を与え、罪を無効にする(または軽減する)というもので、目的はタクシン氏の罪を無効化し、タイ国に帰国しても投獄されないようにするというものです。

2.この恩赦法案に対し、反タクシン派は、デモなどを行い、世論にそんなひどい法案を行えば、クーデターとか起すぞ!と訴えます。結果、安定を願う世論は、その法案に否定し、結果、法案は廃案になります。(ここで重要なのは、議会は、タクシン派が抑えているので通常の方法では、法案は可決されてしまうと言う点です。)

3.勢いに乗った反タクシン派は、現在の政権を無効化するように(一種のクーデターです)デモを行い現政権に圧力を掛けました。

4.現政権は、これに対抗し、議会の解散を行いました。議会を解散し、総選挙を行えば、地方(低所得者層)に人気のタクシン派が議席を伸ばす可能性が高いからです。

5.反タクシン派は、選挙では勝てないため、総選挙を阻止すべく、今後デモやクーデターなど行うのでは?、というのが現在です。

実はタイ国の議員は、上院と下院があり、下院はすべて選挙で選ばれますが、上院は、国民が選挙で選ぶ議員77名と憲法裁判官を選ぶ73名となっています。(日本も昔は貴族院なんてありましたね。)
この憲法裁判官が選ぶ枠というのは、特権階級でありまして、実質利権を持っている権力者が多いわけです。
タクシン派は、この特権枠を廃止するように憲法改正を目指しましたが、憲法裁判所に否決されてしまいます。
すべてが選挙で選ばれれば、結果タクシン派が議席を増やすからです。

何故、タクシン派は地方(低所得者層)に強いのかというと、タクシン氏が首相だった時代に、多額の税金を使い、地方に低金利での貸し出しや低金額の医療制度などを整備したからです。それまで地方は、いろいろな面で都市部との格差が大きかったので、地方に目を向けたタクシン氏の政治は、地方の人たちに歓迎されました。(日本でも昔、ふるさと創生基金とかありましたよね。あれが実は現在の借金財政に一役駆っているそうなのです。政治は難しいですね。)

ある意味、地方からみると良い政治といえるかもしれませんが、都市部の人からみると、都市部から吸い取った税金を地方の事業など将来の税金創生に還元するならともかく、利益を生み出さない人民への税金の割り当ては、ある意味不公平に写りました。
公平でない政治ということになりますが、元々公平な環境ではなかったわけですから、何とも言えないわけです。ただ、地方にお金が回ると出稼ぎが減り、労働賃金が上がり、農産物などの物価が高くなり、結果、都市部での生活が困難になるわけです。だから都市部では、反タクシン派ということになります。
もちろん真っ当に、自己の利益を追求し、結果脱税や収賄などを行ったタクシン氏に反対するという知識階級もあります。

地方は都市部に比べると割りあて議員数が多いので、現在議席は、タクシン派が押さえています。現在総選挙をすれば、タクシン派が議席を伸ばすと言われてます。
反タクシン派からすると、タクシン氏の勢力が増えることが目に見えている、現在選挙を行うことが不利益となるため(選挙を無効としたい)、何とかしたいのですが、正当な方法はなく、デモやより過激なクーデターなどの方法しか現在選択肢がありません。

タイ国の場合、デモでもクーデターでも最終的には、軍(ある程度までは警察)が介入するのですが、この軍は王様が指揮系統を握っているのです。首相でさえ、軽々しく軍を動かすことはできません。実質軍の権限を掌握しているのは、陸軍のトップです。
日本なら総理が、自衛隊の指揮権をもっていますから、クーデターが起こる可能性が大変低いのですが、タイの場合、クーデターを阻止したい首相に軍への実質的な指揮権がなく、簡単?にクーデターが起こりうるのです。だから、今まで何度もクーデターによる政変が行われました。

クーデターの前に行われるのがデモで、これによって民衆は、現在の政権を認めていないと内外(特に王様へ)アピールするわけです。
王様は、国民の味方ですから、国民の声にしたがい軍を動かすわけです。
つまり、デモは、国民の支持を現政府が得られていないことを示すのに使われ、そのため、それを阻止しようとする反対のデモとぶつかり合い、結果双方に死傷者などが出るかなり危ないデモとなるわけです。

ちょっと長かったですが、タイ国の特殊な実情が少しご理解いただければ幸いです。


今日はここまで、またいつかお会いしましょう!

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