国の行く末を誰が決めるのか?
毎年担当しているのだが、先日とある理科系の大学の博士課程で「リーダーシップ論」の集中講義を行った。今回は、いくつかあるコーナーの一つで、受講生に解決すべき世界的課題を挙げていただき、それに対する解決策を提示するという事前課題を出したのだが、その中で、今の民主主義の在り方自体に疑問を呈し、AIで政策決定をするようにしたらどうかとの意見があったのは印象的だった。
ちょうど、私自身が良く訪問するダッカで、レストランの襲撃事件があった。私自身は、このレストランには行ったことがないが、場所はグルシャンという中心街で、一般的に最も安全な地域と考えられているところなので、驚きを隠せない。ただ、今は現地ではイスラム教のイード休暇という時期であり、事件には外国人が巻き込まれているようではあるが、タイミングについてはこの時期を選んだのかもしれない。
ただ、イスラム国やタリバンなどを含めて、このような極端な物理的行動が、恐怖を与えるとか、地域を占領するとかいう形で、現実の社会に大きな影響を与える一方で、難民という形で影響を受ける地域の民主主義の仕組みが、本当に正しい決断を出来る仕組みなのだろうか?英国のEU離脱について、専ら老い先短い中高齢層の投票が影響を与えたという報道を踏まえると、本当に今の仕組みが適切なのか、と考えてしまう。国の政策は、現実を踏まえない無理な実行をしない限り、実際の効果に結びつくには時間がかかるものであり、従ってその影響を最も受けるのは、どちからと言うと若年層だと言える。とすれば、国民投票という手段そのものが適切かどうか分からないし、代議制を取る場合は、出来るだけ若者が代表になっていくべきであろう。
それにしても、我が国の現状はお寒い限りだ。舛添氏を結果として辞任させたのは良いとして、都知事に立候補するに適切な候補者がいない、選挙に通るかということだけを考えて、女性候補だとか、有名な歌手の父親だとかの名前が出てくること自体が、政治の貧困を表しているし、そもそもこのような形で選挙するという仕組み自体に一つの限界を感じる。加えて、国政に目を向けると、安保問題にしても、基地問題にしても、経済対策にしても、色々と問題があると思われる現政権にも関わらず、野党が明確な争点を提示できず、参院選が与党の大勝だと予測されていること自体、我が国の暗い将来を暗示しているように感じるのは私だけだろうか?