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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

なぜこんなに幼稚なのか?

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オリンピック招致に関して、コンサルへの支払いが問題になっている。アトランタ以降、オリンピックが経済的な利益のターゲットとなり、様々な裏金が動いているであろうことは、おおむね想像できるし、その後多少この見直しの機運があるのは事実だが、そんなに簡単になくならないだろうとは容易に推察できる。

そして、このような分野で、広告代理店が暗躍するのもある意味で極めて普通のことであって、あまり違和感はない。ただ、組織委員会が直接問題になっているコンサル会社に送金をしているとなると、このような問題が出てくるのは当然であって、いかにも幼稚な対応過ぎると感じざるを得ない

確かに、契約書などについては守秘義務はあるが、このような国際問題で、刑事犯に類するような操作に関連しているという点では、この主張は極めて弱いものであり、加えてそもそもコンサル契約である以上、どんな形にせよ成果物があるはずであり、これを示せないということは、口利き料だったと言われても反論できないだろう。そして、もしその通りだとすれば、国の予算を不正に使ったのだから、国際社会での問題もさることながら、国内でも背任になるのではないか?

国立競技場問題、エンブレムの問題、開催地の知事の一度の辞任と現知事の恥ずかしい金銭問題の山積などを勘案すると、正直言ってそもそもこのような国際イベントを開催するに、我が国は相応しくないというか不適格と言われても致し方ないのであり、「おもてなし」などを浮かれていたことを恥じるべきである。

加えて、次から次へと露呈する大企業の不正、さらに福島原発の状況が十分に明確化されていない現状も勘案すれば、このコンサル料支払いを契機として、オリンピックを返上し、アジアの他地域でこれから成長を志す意欲ある国へ権利を委譲し、資金面を全面的に支援するというような発想があってもよいのではないか?

もちろん、そんなことが一国の判断で出来るはずのないことは理解しているが、そのくらい我が国がオリンピックを招致したこと自体が、我が国自身の自己認識の大きな過ちによるものだということを、国民全員が強く心に刻みつける必要があると思うのだ。内閣総理大臣が、「私は立法府の長」などと言うふざけた国に、まともに世界に胸を張ることなどできるとは思えない。

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