頭の回転が遅いという才能?
新年になってから一度もまじめな内容を書いていない気がしますので、たまには・・・
私が社会人になったのは平成元年ですので、1989年。今年が平成30年で2018年。もうすぐ社会人30年です。早いものです・・・。厳密には1985年の大学1年生の時から今の会社でアルバイトをしていましたので、それも会わせると30年を超えていますね。
私の会社ではソフトウェア開発関連以外にも事業を行っていますが、自分が直接関わり続けているソフトウェア関連でざっくりと流れを振り返ると、以下の感じです。
1985年(19歳)〜1989年(22歳):アルバイトでCADシステム開発
1989年4月(22歳)に社員に
1989年(22歳)〜1994年(28歳):CAD開発販売に専念
1991年10月(25歳)事業部を立ち上げ課長を自ら名乗る
1994年(28歳)〜2007年(40歳):出向・受託開発
1996年7月(29歳)初めてノルマ達成によりまともなボーナス
2000年9月(34歳)最初の著書出版
2005年12月(39歳)代表取締役社長に・ProDHCP製品化開始
2006年6月(39歳)IntraGuardian製品化開始
2008年(40歳)〜:製品開発販売にシフト
いつの間にか製品開発販売にシフトしてから10年を超えています。今ではすっかり製品開発販売が事業の中心になりました。
それぞれの期間で自分自身がどのような仕事をしていたか、何が一番大変だったかをまとめてみると以下のような感じです。
1985年(19歳)〜1989年(22歳):アルバイトでCADシステム開発
プログラマー
苦労したこと:独学でC言語・MS-DOS・UNIXを身につけること
1989年(22歳)〜1994年(28歳):CAD開発販売に専念
プログラマー・開発のリーダー
苦労したこと:開発と営業・経営側との調整
1994年(28歳)〜2007年(40歳):出向・受託開発
プログラマー・受託案件獲得営業
苦労したこと:受託案件獲得
2008年(40歳)〜:製品開発販売にシフト
プログラマー・受託案件獲得営業・製品販売営業・社長業
苦労したこと:社内外の調整
プログラミングに関しては、苦労をしたのは学生時代の最初くらいで、その後は基本的に苦労ではなく楽しいものだったと今は思っています。特に2000年に著書を執筆したあたりからは自分の得意分野で勝負できるようになり、技術交流も広がって情報も集まるようになり、苦労という感じはありませんでした。
CAD開発販売も自社製品の開発販売ですので今やっているIT製品の開発販売と似たようなものなのですが、決定的な違いは、「自分がCAD業界を好きでなかった」「製品開発販売に対する認識が甘すぎた」「よいパートナーさんと競業できるレベルに私が達していなかった」など、私がリーダーとしてあまりにも未熟すぎたためにうまく行かなかったと考えています。
今振り返っても一番辛かったのは「受託案件獲得」です。社交性はもともとある方だったと思いますが、バリバリのプログラマーが営業の責任も持つことはとても大変なことでした。受託案件は声がかかりすぎても、空いてしまっても困るもので、半期の締めが近くなる度に胃が痛くなるほどでした。もちろん悪いことばかりではなく、その時代に知り合った仲間とは今でも交流が続いていますし、頑張れば高いボーナスを得ることもできました。それでも私にとっては辛い時期でした。
年齢が上がるにつれて、苦労のほとんどは「社内外の調整」になってきました。今でもProDHCPは私が一番詳しいので営業や現場作業にも行きますが、基本的にはプログラミングなどの技術仕事は本当に私が得意なところだけを当たりがつく程度までやるくらいになり、あとは優秀なメンバー達がしっかりやってくれる状態になりました。細かい調整もほとんどメンバー達がこなしてくれますので、私は会社オーナーである会長との相談や、リーダー達との調整、そしてパートナーさん達との会社間の調整などを中心に仕事をするようになりました。
さて、そんな私の経歴の中で、突出した能力を持っていない私がここまでやってこられたポイントは、実はたった1つではないかと最近感じています。
「ぶち壊さないいこと」
私は頭の回転が遅いこともあり、周りの人がカッとなるような状況でも平然としています。実際は平然としていると言うよりは「ついていけていない」というのが正しい気もしますが。時間をかけてゆっくりしか理解できないので、仮に怒りたくなるような内容でもすでに出遅れているので怒るタイミングを逃しています。おかげで、私は社内でも社外でもほぼ怒っていません。逆に落ち着いた状態で周りの人達が感情を顕わにしているのを見る機会が多いのですが、それによってあまりにも多くの損をしていると感じています。
私は「感情で物事が解決することは絶対にない」と考えています。力でねじ伏せても頭で納得できていないので解決にはならないことが多いのです。むしろマイナスの感情がお互いに生まれ、物事は悪い方向に向かうことがほとんどでしょう。せっかく関係者が地道に調整してきた場を、たった一言の感情による言葉でぶち壊してしまうことはよくあるのです。私からすれば「実にもったいない・・・」という感じです。
私の経歴の中で、技術者をまとめたり、お客さんやパートナーさんと調整したり、会社オーナーと相談したりする際に、とにかく「ぶち壊さなかった」ことが、振り返ってみれば一番良かったことだったと考えています。おそらく凄腕のメンバー達が私を慕ってくれるのも、私がぶち壊さずにきちんと調整をするからだと思っています。個人のことならともかく、関係者がそれぞれ頑張って取り組んでいることを自分の感情だけでぶち壊すなど、あまりにももったいなくてできません。頭の回転が遅い私からすれば大したことではない気もしますが、実際にはできる人はとても少ないと思っています。
素晴らしいアイディア・行動力からあっという間に大きなビジネスを立ち上げるような才能は私にはありませんが、「ぶち壊さない」という能力(?)でもここまでしっかり事業を伸ばしてこられたということで、これからも私なりの頭の回転が遅いという才能を活かして、ますます関係者の皆さんとよいビジネスにしていきたいと考えているのでした。