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プログラミングでメシが食えるか!?

人は圧力で動かすのではなく、心を動かすべき

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昨日、サイクリングの後で中2の息子と英語の勉強を一緒にしたのですが、勉強に限らず何かに取り組む際には、まず「心が大切」と私は考えています。どれだけテクニックを教えても、吸収しようと思う「心」がなければほとんど意味がありません。息子は昨年せっかく海外旅行に連れて行ったにもかかわらず、英語に興味がなく、これまでは試験前の勉強といっても、ほぼ「ぼーっと教科書を眺めている」だけでした。これだけで高い点が取れるようであれば人間苦労しません。

昨日は一緒にサイクリングを楽しんできた後ということ、帰宅後はしばらく息子と二人だけだったこともあり、私なりのやり方を通すことができました。

まず、自分で苦手な章を選ばせ、ノートに英文を1行おきに写させます。それから教科書・参考書は閉じて、自分で和訳を英文の下に書きます。そこまでできたら、英文と日本語訳を読ませます。発音が違うところや、和訳を間違えているところを指摘し、ノートに指摘されたものを箇条書きさせます。

ここまでで、まず最低1回は書くことと、訳すこと、読むことにより、見るだけではなく、体も少しは覚えます。指摘されたところは苦手な箇所ということで、後で練習する感じです。

さて、ここで先に進むのではなく、私と息子で役割を決めて会話をしてみます。各章の先頭の文章は基本的に対話形式ですので、例えばJaneとAmyの会話を演じてみるのです。こういうときには二人きりというのがとても良い環境です。息子は最初はボソボソと棒読みしますが、「それでは外人に通じないぞ。日本語でたとえれば、『あ・な・た・は・さ・く・ば・ん・の・は・ち・じ・こ・ろ・な・に・を・し・て・ま・し・た・か」と喋っているようなものだ」ということで、「この会話は、Janeはどういう気分で喋っているかな?」「ここは探りを入れている感じじゃない?」と背景を推測し、「そうだとすると、こんなふうに発音すると思うよ」と、私が相当オーバーに喋ってみます。で、それを息子に真似させます。なかなか滑らかに喋れないものですので、何度もやってみます。そして役割交代などしながら、10回くらいは演じます。

スラスラと喋れるように練習すると、単語で覚えるのではなく、文節くらいで覚えられるようになり、たとえば、()に入るのはto,by,forどれ?とかいう穴埋め問題でも、頭で覚えるのではなく、流れで覚えているので間違えにくくなります。

それだけでなく、二人でオーバーに演じていると結構面白いのです。ついでに、「こういうときには、こういう表現をすることもあるね」「この単語は他にこういう意味でも使うよ」とかいろいろ話すと、「へぇー」と興味を持つようになってきます。

このやり方で2章くらいやったあと、「次は、英文を写すのではなく、パパが読むから、それを書き取って」とやります。息子がテスト向けという意味で一番駄目なのは単語のスペルをほとんど覚えていない点です。案の定、スペル間違いばかりです。これも指摘ポイントと同じ所に書いておかせ、あとで苦手な単語として練習しやすいようにしておきます。その先は同じ感じですすめ、章をクリアーしていきます。

最初は「英語の勉強なんて憂鬱だ」という表情でしたが、会話を演じるあたりから笑顔も増え、英語の勉強だけで2時間以上あっという間に経ちました。普段は2時間も英語の勉強をしろと言われれば、あっというまにサボっているでしょう。最後の方で妻が帰宅し、「Oh, really ?」とか盛り上がっていたら、「遊んでいるんじゃなく、勉強させてね!」と突っ込まれましたが、これでいいのです。勉強を終えた後、ママに「一人でやるのではなく、パパと英語の勉強をすればまじめにできる」とか言ってましたが、まあ、さすがに毎日できるほど私も暇ではないので、定期的に一緒にやろうと思ってます。

中途半端に説明すると何を書いているのか分からなくなるので、ついつい、長くなりましたが、要するに、「嫌々やっていても駄目で、やろう、やりたい、と思う心にするのが先」というのが私の考えです。スポーツでも、子供が小さい頃、下手くそでも「おぉ〜!うまいじゃない!!さすがだねぇ〜」と褒めながらやらせれば、嬉しくなって「もっともっと」となるものです。

仕事でも同じです。「命令だ!」「やれ!」と言ったって心のこもった仕事は期待できません。仕事の内容を納得させ、「この価値のある仕事を是非君に担当して欲しい!」と言われれば気持ちが入りますし、やりとげたあとに、「やっぱり君が担当してくれてよかったよ!」と褒めればまた次も頑張る気になるものです。

先日発売になった著書「プログラムは技術だけでは動かない ~プログラミングで食べていくために知っておくべきこと」も、まさに「仕事は技術じゃない」と言いたかったのです。「技術ノウハウ本を」という初期の企画で書き始めた頃に、「技術なんて必要だと思えばいくらでも自分で調べて取り組むもの」「やらねば、と思うかどうかが大事」「そのためには、多くの人と関わり合って、自分が何をすべきかを理解すること」という思いがどんどん強くなり、結局、技術ノウハウではなく、仕事力の話を中心にまとめたのでした。

少なくとも今の日本は圧力で人を動かす時代ではなく、心を動かすことが大事な時代だと私は感じています

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