検索しやすいから探すのか、探すから検索しやすくなるのか
先日の「ビジネスシーンにおける検索時に感じるストレス」というエントリーを書く際に2年ほど前の「ビジネスシーンにおける情報探索活動に関する調査」(2007年)の調査結果を見ていたところ、いくつか面白いグラフを発見したので引き続き紹介する。
この調査ではビジネスシーンでどんな情報をどのくらい探しているかを調べているのだが、この中の一日における検索頻度の設問への回答を見ると、情報の種類によって検索回数に多少の差がある。
この中でとくに注目すべきは、ニュースや雑誌記事の検索頻度が高いことであろう。人の情報やスケジュール情報などは業務を行う上で不可欠な情報だが、ビジネスマンはそれ以上の頻度でニュースや雑誌記事を探しているのだ。
また「情報1回の検索につき、探し始めてから終わるまでに平均どのくらいの時間がかかりますか?」という設問で探す情報別の所要時間を聞いた回答では、やはり他人の意見やアイデアといった“やわらかい情報”についての所要時間が長くなる傾向が見られた。比較的短時間で済んでいるものは、スケジュールや空き時間などの時間情報、連絡先情報、交通情報や地図などの場所情報、言葉の意味・用法などであった。ついで、ニュースや雑誌記事、モノやサービス内容などになった。
特徴的なのは、仕事の進め方やノウハウに対する所要時間の長さである。多くの組織では定型業務について、マニュアルの整備やシステム化による業務標準化などがかなり推進されてきた。それにも係らずこの仕事の進め方やノウハウの検索所要時間が長いということはどういうことだろうか。不定形業務においての負担が増しているということだろうか。
この所要時間と回数をあわせてプロットした図が以下になる。
確かにグループウェアなどを活用して、スケジュールや空き時間などの時間情報の共有や社員名簿などの連絡先情報の纏めに取り組んでいる組織は多く、当然そういう情報は簡単に手に入るようになっている。しかしながら場所や言葉についてはまだそれほどシステム化が進んでいないように思えるので、このあたりを今後
ビジネスにすると面白そうだ。
あと両者には弱い負の相関があるように見える。
ある情報を探している人が多いと、それをシステム化して効率化が行われるのか、あるいはシステム化によって探す行為が手軽に行えるようになることがむしろ探す回数を増やすのか。さてどちらなのだろう。