ウチの便器はトルネード
オルタナティブ・ブログの事務局から「今の流れは便器」と言われたので私も波に乗って便器愛を語ってみたい(笑)
#今日のエントリーはITにあまり関係ありません。すいません。
自慢するとウチの家の便器はトルネード洗浄式である。いやトルネードにしたと言って良い。数年前にウチを買うときに特に便器については、営業さんにリクエストをしてTOTOのトルネード(渦巻き洗浄)タイプにしてもらった。当時既にトルネード便器は汚れがつきにくく掃除がしやすいということでヒット商品になっていたが、担当営業さんがその存在を知らないので仕方なく近くのTOTOのショールームまで行ってパンフレットを貰って「これに替えて下さい」とまでお願いした代物だ。
で数年経って嫁とも時々話をするが数万円を払ってでも縁なしトルネードにして良かったと思う。評判通り便器の黒ずみが少なく清潔感が高い。掃除の手間も小さく満足している。普通の便器のように縁から水が出てくるよりもガッと流れるトルネード式は爽快感すら感じさせる。残念なのはブルーレットを設置しないと洗浄水が透明でトルネード状に流れることが目に見えにくいということくらいである。あと最近は見た目重視のタンクなしの便器もあるようだがタンクなしだと水流が弱いのでせっかくのトルネードが見えにくくなると思う。やっぱり男は激しい水流のタンクありだw。
いろいろと検索をしてみたところ2005/04/16付けの読売新聞に『[失敗伝説]ふちなしトイレ トルネードに死角ナシ』という記事が見つかった。
これによるとトルネード洗浄便器の開発には2年以上を費やしたとある。当初便器の設計にはコンピュータシミュレーションを使ったが結局上手くいかないので粘土を作っての試行を100種類以上試したとある。
粘土で、ようやく「できた」と思っても、実際に陶器にしてみると、また壁にぶち当たった。陶器に焼くと元の大きさより縮むのだが、形まで微妙に変化してしまうので、水流が変わってしまう。また、型を作る粘土と、製品の陶器では表面の滑らかさも違う。こうした予測困難な影響も織り込みながら、理想の型に近づける試行錯誤が続いた。
2年間を、こうした作業に費やした。やっと最終的な便器の型が完成したのは3年目。内側の曲面は従来タイプよりもなだらかになった。上端の1か所から吐き出される水は、上部まで流し残しのないように、クルンと1周し、落ちてゆく。掃除も“死角”がなくなり、便器の内側全体を清潔に保てるようになった。
{出所:読売新聞夕刊(2005/04/16)10面}
まさに日本の職人の意地だ。便器という一見差別化しづらい上に改善ポイントも少ない商品にこうした画期的なアイデアを取り入れ、コンピュータに頼らずイノベーションを起こしていくこういう姿こそが日本のメーカの競争力の源泉なのだろう。
蛇足ながら付け加えると家を買うときに間取りとか外壁とか壁紙とかに拘る人は多いが個人的には風呂(脱衣所含む)とトイレにもちょっと気を配ると良いと思う。この2つの場所は狭いけど毎日絶対に使う場所だし家の中で一人になって冷静になる場所でもある。こうしたスペースにちょっとコダワリを持ってそれを叶えておくと、満足感と幸福感を味わえる。ちょっと浅ましい知恵ではあるが、もしこれから家を買う人はお試しあれ。トルネードで幸せになれるかもしれない。
※一応私には他にも便器についての蘊蓄がある。北欧のSwedenの体育館の便器は184cmある私の膝よりかなり高い位置にあって酷く驚くが、これは実は冬にスケート競技用を開催したときに選手がそのまま用を足せるようにに高くしてある。