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社内SNSは安価なグループウェアなのか?

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 先週gooリサーチから「企業内コミュニケーションに関する調査結果」が発表された。ITmediaを始めいくつかの媒体で報道をされたので知っている人も多いと思う。ところがこの調査結果の後半のデータとITmediaの記事のタイトルにあるような「社内SNSが救世主となる」との扱いには若干気になることがある。
 アンケート結果を見るとIT活用におけるコミュニケーション及び情報共有における課題としては「誰がどんな情報を持っているかわからない」というのが多数意見となっている。ここまでは予想通りの結果である。このようなニーズがあるから数年前からKnow-Whoというソリューションが注目され、その後のブログの台頭を機に社内ブログによって各社員の自発的な情報発信や備忘録の電子化を行うという期待が高まってきたのだ。ここまでは問題ない。
 気になったのは、アンケートの次の質問である社内SNSを活用したい目的の設問。「経営方針などの情報を知る」「業務知識やノウハウの取得」「社内ルールやマニュアル参照」という選択肢が羅列してあるが、これって社内SNSの導入目的として適当なのだろうか?他にも「同じ職種や興味関心を持つ人とのコミュニティにおける情報交換」「業務外目的の情報共有」という選択肢があるが、これらは従来からあるグループウェアのフォーラム機能や社内ブログで出来ることとどう違うのだろうか?

 実のところ社内SNSというツールでしか出来ないことはあまりない。社内SNSでだけ出来ることは、同じ興味や目的を持つ人同志がお気に入り機能でつながることとそういったクローズな関係者だけに閉じたコミュニティを簡単に作成できることくらいである。

 私だったら経営方針などの情報を知らせる目的なら社長ブログやポータルのトップページの活用を、業務知識やノウハウの取得にはKnow-Whoベースのナレッジデータベースの整備、社内ルールやマニュアル参照の効率化にはそれに特化した専用ツールの導入やエンタープライズサーチを推薦する。「情報が多すぎる」「取捨選択に手間がかかる」という現在の問題を解決するのであれば、パーソナライズ機能を持ったポータルやエンタープライズサーチのほうが優れている。

 ツールとしての機能が貧弱で完成度もまだまだな今の社内SNSツールにグループウェアを始めとした情報共有基盤のポジションを期待するのは危険すぎる。社内SNSは安価なグループウェアではなく、特定の課題を解決するためのツールの一つに過ぎない。これまでのツールを置き換えるものではなく補完するものだ。

 ただアンケートの設問の最期のほうにある社内SNSの役に立つ機能が「コミュニティの作成」になっていることは無視できない。アングラ的な有志によるクローズなコミュニケーションの場を社員が強く求めている現れである。従来のフォーラムや掲示板の設置基準や設置権限が厳しすぎて柔軟性を欠いているというのが社内SNSを欲する動機になっていそうだ。思い切って今の設置基準や制限を大幅に緩くしてみてはどうだろうか。それだけでも効果はありそうだ。

Comment(4)

コメント

柴田 健次

先日はありがとうございました。
今回の内容にもありましたが、主たる目的のみでの導入が困難なため、情報共有の部分で理解してもらおうとしている傾向が私にもあります。ご指摘のとおり、情報共有の部分については他のツールの方が理にかなっていると思います。SNSの標準機能で検索の部分が強化されればと思うのですが、難しいでしょうね。

>従来のフォーラムや掲示板の設置基準や設置権限が厳しすぎて柔軟性を欠いているというのが社内SNSを欲する動機になっていそうだ。
まさにそのとおりです。
そこがイントラブログに踏み切れない理由でもあります。導入しても掲示板やフォーラムと一緒ですから。
社員の自発的な行動をサポートするためのツール。
それに一番近いのがSNSなのではないかと思っています。とはいえ、SNSでもルールを縛ってしまえば一緒。結局はツールではなく、いかにユーザに緩やかな環境を与え、使ってもらえるかが課題なんでしょうね。

柴田さん
 こちらこそ遠方からわざわざご訪問頂きありがとうございました。結構充実した情報交換ができたと思います。
 最近、何人かの人がSNSはコミュニケーションツールであってSNSでの情報共有には限界があるという事を述べられています。世の中には、著書やツールを売りたい為にSNS万能論を唱える無責任なコンサルタントや営業もいますが踊らされないことです。
 但し大企業におけるアンオフィシャルなコミュニケーションをどうするべきかという議論においてはSNSは非常に有効だと思います。但しその場合、SNSは福利厚生の一環だと割り切ることが重要です。ちなみにその場合の主管部は総務部ということになります。

Notes/DominoのForum(Discussion)が全盛の頃というのは、Domino Serverが部門で管理され、Userが自由にDBを作ることができた時代ではないでしょうか?
それが、当時はDBが乱立してどこに情報があるか分からないという状態になり、結局統制してしまうことになったという経緯だと思います。

ただ、今では検索Toolが充実していますので、Dominoであれ、Blogであれ、乱立を許してあげる心の広さが必要なのかも知れません。

逆にSNSやDominoのACLで守られたDBというのは、検索の対象にならないということがあり、これらのCommunityで産まれた知識をどうやってOpenな世界に出すか?というのも課題なのでしょうが、ここは「人」しかなせない部分かも知れません。

最近、以下のような記事を書いてみました。

http://ameblo.jp/iwama/entry-10018929071.html

また、コメント、トラックバックにてご意見ください。

岩間さんコメントありがとうございます。
統制と自由は、集中と分散と並んでここIT業界では数年おきに周期的に揺れ動く事象の一つだと思います。
また、岩間さんのブログでのコメントでも議論しましたが「ちょうど良い、手軽なACLに守られた環境」というものを今後考えて行きたいと思います。

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