画家田中一村の辿り着いた場所
奄美時代の作品は、本当に別ものだった。
私は、一般的な絵画やアート作品すべてが好きなんじゃないんだよな~と、最近やっと言葉にすることができるようになりました。
私にとってのアート作品は、そこに大自然か何か、なかなか触れられない尊いものが「在る」状態。そしてその存在を鑑賞を通して触れることが好きなんですよね。ただ、そこに到達するまで(しない人もいるけど)、作家それぞれに命を懸けた人生があって、そのプロセスに生まれた作品も、それはそれで人間ドラマを見るような感動や学び、そして楽しみがあります。
以前に、ある教育関係の経営者が、「くにさんの作品は絵じゃないんだよ。自然そのものなんだよな。」なんて、さすが1年以上描いただけのことはある!と思わせることを言ってくれたことがあるのですが、まさにそんな感じ。
私自身は、くにさんのマネジメントをしている特権として、そんな何かの存在が現れる状況を日々垣間見て、なんて贅沢な仕事だろうと日々感謝しながら、そんなアートが世の中にたくさん生まれたらいいなと仕事をしている訳なんですが。
話しを戻すと、一村さんの奄美で生まれた作品たちは、まさに尊いものが「在る」状態でした。その存在は、とても都会では出逢えない、まさに奄美の精霊のように感じ。また奄美移住以前の作品が、彼の人柄を感じさせる、まじめで少し無器用な
アーティストはた
彼が画壇に評価されなかったことは、少し辛い経験だったかもしれませんが、だからころ辿り着けたんじゃないかな。そして生きている間に認められなかったのではなく、たくさんの人に支えられ認められながら、ある境地に辿り着いた幸せな画家だったのだと思いました。
今回ひとつだけ残念だったのは、とても混んでいて、あまりゆっくり作品を観れなかったこと。なかなか独り占めって訳にはいきませんよね。それにしても日本の美術館来場者は、すごく増えているんじゃないかな。
『田中一村~新たなる全貌~』は千葉市美術館にて、来週26日(日)まで