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ビジネスをアートする?!社会をアートする!?コミュニケーションアートから見た時代の新潮流

モチベーション3.0とアートの未来

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『去年より今年、今年より来年みたいに新しい概念と様式ばかりを求めた結果、今や現代美術は完全に閉塞状態で息もたえだえである。これみよがしのアイディアだけの作品が多い。
もうそろそろ頭脳的な創造から、個の肉体を取り戻そうとする生理的な創造に一日も早く帰還すべきではないだろうか。そのことに気づけば、自ずともう一度岡本太郎の書を繙きたくなるはずだ。』

これは画家横尾忠則氏が、故岡本太郎氏の著書「今日の藝術」の再版の序文に寄せたものです。

この文章、「現代美術」を「ビジネス」に、「作品」を「ビジネスモデル」に差し替えると、現在のビジネスにおける閉塞感も表現できてしまいます。
アートの世界は、ビジネスの世界より柔軟で自由だと思っている方も多いかもしてませんが、アートも同じ人間の行為。私も横尾氏と同じような所感を現代アートに感じることもありますし、アートにせよ、ビジネスにせよ、原点回帰する時期になったのかもしれないと感じています。

一方、現在話題のダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」についてですが、正直なところ、驚くほど真新しいことが書かれている訳ではないと感じている方も多いと思います。
バブルがはじけた90年代に、これからは「心の時代」と称してビジネス書のコーナーに一気に精神諭が溢れた頃に、さまざまな書籍に書かれていたこととベースは変わってない気がします。

人間が生きる上での本質はそう複雑なものではないのでしょう。

ただ、そこで重要なのは、今生きる私たちにわかりやすく編集し、課題解決に向けて力になってくれる言葉かどうかです。そのような視点からすれば、「3.0」という言葉は、とてもキャッチーだと思います。そして、いよいよ切実な課題に対して、リアリティのある取り組みが求められていることを痛感します。

1954年に出版された「今日の藝術」には、こんなくだりがあります。

Dscf0144『いつでも、他人にたいする思惑に重点をおいて生活しているうちに、いつのまには精神の皮が硬くなって、おのれ自身の自由感というものを忘れてしまい、他人の自由にたいしても無感覚になってしまうのです。・・・<略>・・・
藝術の力によって、この不明朗さを、内から切りくずしてゆかなければなりません。藝術はいわば自由の実験室です。実社会で、いきなり貫きとおすということは、いろいろな障害や拘束があって容易なことではありません。しかし藝術の世界では、自由はおのれの意志しだいで、今すぐ、誰にもはばかるところなく、なにものにも拘束されずに発揮できるのです。おもいきってのびのびと踏み出してごらんなさい。そして人間的な自由とはなんであるのか、その喜びをみずから発見すべきです。それは新しい生活への自信となって、明朗にあなたをささえるでしょう。』 (岡本太郎)

この岡本太郎氏の愛情あるアートへのお誘いの言葉の意味は、ワークショップなどを通して実感している方も多いかもしれませんね。

「モチベーション3.0」に興味を持たれている方は、 「今日の藝術」を併せ読むことで、新しい発見があるかもしれませんよ。

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