働くことをアートする?
「なぜビジネスにアートが必要なのですか?」と気軽に聞かれたのに、経済史の話に広がるってしまうでちょっと驚かれてしまいます。(パーティーなどの立ち話だと引かれないように注意してます、笑)
他によく言われるのが、「アートとデザインの違いはなんですか?」「コミュニケーションアートってなに?」「この絵を描くのにどのくらいの時間かかるものなんですが?」「アート販売の仕事ですか?」「何人くらいアーティストをかかえているのですか?」「私はアートはまったくわからない。」「自分は感性がないから」「ビジネスにアートって事例を聞くとわかる気がするけど、うまく頭で処理できない」などなど
あるときは興味深々で、あるときは怖いものでも見るように(って私が怖いのかな、笑)
ところで、「なぜ、マネジメントという切り口でアートなのか?」
社会起業家フォーラムの田坂広志さんが折に触れて、マネジメントをアートと関連づけて書かれています。
「アートという戦場~ソーシャルアート入門」の「働くことをアートする」の文章にいたく共感。
以下が本文からの引用です。
「人間の心に処する仕事、マネージメントはアートです。」(140P)***************************************
マネージメントとはスタッフの「人間としての成長」を支えることだからです。・・・(中略)
では、「成長」」とは何か。それは「心の世界」がわかるようになることです。それは三つの「心の世界」です。
第一は目の前にいる「相手の心」をわかるようになること。言葉にならない相手の思いを分かるようになることです。
第二は「人間集団の心」がわかるようになること。人間集団の心は、単なる人間の心の総和ではありません。それぞれの心が互いに相互作用を起こし、ケミストリーが起こる。そのため、そこには独特の空気や雰囲気が生まれてきます。それがわかるようになることです。
第三は「自分の心」です。自分の心の深い世界、潜在意識の世界を感じとることができるようになること。自分の心の中のエゴの動きがわかるようになること。
この三つの「心の世界」が分かるようになることが、人間として成長するということです。そしてマネージメントとは、自らその成長の道を歩み、次の世代が成長の道を歩むことを支えることだからです。だから素晴らしい仕事なのです。
ではなぜ、このマネージメントが「アート」なのか。それは、マネジメントというものが、この宇宙で最も高度なものに処する仕事だからです。それが「人間の心」です。「人間の心」とはこの宇宙において、137億年の歳月をかけて成長し、進化してきた最高の存在です。だから、この「人間の心」に処する仕事、マネージメントとは、我々が為し得る「最高のアート」なのです。
そもそもアートの本質とは、無意識を含めた人の心に対する働きかけです。絵を見た瞬間に、魂が震えることがある。音楽を聴いた瞬間に、全身が感動に浸るときがある。そうであるならば、「絵」でも「音楽」でもなく、言葉を用いて人間の心へ働きかけるマネジメントという営みは、ある意味で、最高のアートなのではないでしょうか?
************************************
私はこれを読んだ時、まさに私たちの取組みを説明してくれているようでとても勇気をもらいました。
そして私たちが「最高のアート」になるために、アートの力を借りることもとても有効だと実感しています。そこでのポイントは「自己との対話」「他者との対話」「自然(場)との対話」の誘発。
私自身も、修行の身として、場を創りながら、仲間と対話しながら、最高のアートな人間になりたいな~と日々「3つの対話」を繰り返しています。