「VAIOな男性」「VAIOな女性」-データから見るペルソナ図鑑(5)-
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【まえおきです。】
消費者を理解することがマーケティングのはじめの一歩です。「誰に何を買っていただくのか?」「誰に何をお伝えするのか?」の「誰に」の部分を明確にしていくことで、その方達の心を動かすコトが可能になるのだと思います。ターゲットが不明確なまま実施するマーケティング施策は、宛名を書かずにラブレターを出すようなものです。
消費者を理解するための一つの方法として、その人達の所有しているブランド(商品)から消費者の心の動きを把握する、というのが私たちのアプローチ方法です。「人はなぜそのブランドを選ぶのか?」「そのブランドを選んだ人たちになんらかの共通点はないのか?」そんな疑問から色々と消費者調査をやっています。
「ブランドの定義は消費者によって行われる」と言ったのはブランドコンサルタントのマーティー・ニューマイヤーという方です。私はとてもこの言葉が好きで、よく引用します。つまり「ブランドのことを知りたいのであれば、そのブランドのユーザーを見ろ」ということです。
そんなわけで「消費者理解コトハジメ」では、アンケートデータから様々な消費者のプロフィールをご紹介しています。「人にブランドというレッテルを貼っている」とよく言われますが、逆です。「ブランドに人(ペルソナ)というレッテルを貼っている」のです。
【VAIOユーザーってどんな人?】
前置きはさておき、以前「MacBook AirとLet's noteのユーザーに違い」についてエントリーした際、「VAIOユーザーはどうなのよ?」というお言葉をいただいたので、今回は「VAIOノートユーザー」に焦点を当ててみます。
さっそく「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」を使ってVAIOノートユーザーを見てみましょう。「ぺるそね」の全サンプル(29,093人)のうち「VAIOノート」をお使いの方は3,385人でした。男性が51.6%、女性が48.4%で若干男性が多いのですが男女比はほぼ半々と考えていいようです。平均年齢は43.0歳で全体とほぼ等しい数値になっています。年代的には幅広い層から支持されているようです。世帯年収はやや高めです。商品カテゴリーとしての「デジタル家電」に関心が高い人たちです。
パソコン市場におけるブランドポジショニング
趣味や興味の対象としてやや高い項目として上がってきているのが「グルメ」「ワイン・ウィスキー・洋酒」。ウンチクを語りながら食事を楽しんでいるようなイメージでしょうか?それとともに「ビジネス」に対する興味も比較的高くなっています。スポーツは「ジョギング」「ゴルフ」「スキー」などがやや高めに出ており比較的アクティブな方々です。特に「スキー」は全体と比較し1.5倍となっています。ソーシャルメディアはfacebookが全体と比較し1.3倍となっていますが、SNSへの参加は一般的のようです。一方、リアルライフからみると社交的な人々という印象が強いですね。
パソコンを選ぶときの基準は「ブランド」「デザイン」が全体と比較し高くなっています。以前分析した「Let's note」ユーザーと傾向は似ていますが、「VAIO」ユーザーの方が「ブランド」要因が高くなっています。そして好きな家電製品メーカーのブランドはもちろん「ソニー」です。
パソコンの購入時重視点
【消費行動から見たVAIOな男性】
さて、ここからは男性と女性を別々に見ていくことにしましょう。まず、男性(1,746名)の消費傾向としては「ブランドものを持つのが好き」で「新商品の情報はまめにチェックしている」人たちです。思われたいイメージは「品性がある」「信念・ポリシーがある」「かっこいい」など。品の良さを目指す人々です。
所有しているブランドから感性傾向を見てみましょう。ファッションは「バーバリー」「ラルフローレン」「リーバイス」などオーセンティックで品質の確かなものが好み。時計は「ロレックス」が全体の1.8倍の所有率です。その他「オメガ」等輸入ブランドが軒並み高くなっています。「カルティエ」「ブルガリ」などのアクセサリーの選択率が高いのも特徴で、とてもおしゃれな方達ですね。面白いところではチョコレートの「ゴディバ」が全体に比較し1.7倍の高い選択率です。
クルマのベストテンは「クラウン」が4番目で全体の1.9倍の所有率。同様に「スカイライン」が5番目で1.9倍、「BMWの3シリーズ」が8番目で1.8倍というのが目立っています。ここまで見てくると、「評価が固まっていて、確かで間違いのない、そして誰もが高品質であることを知っているブランド」が好みのようです。あえて誰も知らない新しいブランドを選ぶような冒険はしないタイプなのかも知れません。
ぺるそなイラスト「VAIOな男性」
【消費行動から見たVAIOな女性】
女性のVAIOユーザー(1,639名)の消費傾向は、判で押したように男性と同じ特徴が出ています。「ブランドものを持つのが好き」で「新商品の情報はまめにチェックしている」人たちです。女性の中では「デジタル家電」に対して関心の強い人たちですね。加えて「スパ」「エステ」「ネイル」など美容に関する項目が女性全体と比較し高くなっています。思われたいイメージは「センスがよい」「頭のよい」「粋な遊び心がある」などが高くなっています。こちらもやはり上品でかっこいいことを目指す人たちです。
ファッションの好みは「組曲」「23区」等が上位に来ています。また「ユナイテッドアローズ」等のセレクトショップ系もお気に入りです。バッグは高級ブランドが並びます。「コーチ」「ルイヴィトン」「グッチ」「プラダ」が上位に位置し、特に「プラダ」は女性全体と比較し1.6倍の支持率です。アクセサリーの選択率が高く、「ティファニー」「スワロフスキー」「カルティエ」が1.5~1.7倍となっています。そして時計は男性と同様に「ロレックス」が1.8倍と高い所有率です。
メイク用化粧品は「マキアージュ」がトップですが、「シャネル」「ランコム」などの海外ブランドの使用率が女性全体と比較し1.6〜1.7倍と高くなっています。この人たちはミネラルウォーターをよく飲みます、「コントレックス」「ヴィッテル」「ペリエ」が女性全体の1.6倍ほど多く選ばれています。また、好きなキャラクターではディズニーやジブリのキャラクターをおさえて「スヌーピー」がトップになっています。
ペルソナイラスト「VAIOな女性」
【ちょっと考察】
1990年代の後半はインターネットの大衆化前夜でパソコンが大きく変わる時期でもありました。アップルのiMacも1998年に発売されたし、1997年の暮れに発売されたVAIO NOTE 505もヒット商品になり、パソコンにとってそれまであまり重視されていなかった「デザイン性」が必要不可欠なものになりました。
当初VAIOは、IT系のプロフェッショナルにはあまり支持されませんでしたが、いわゆるおしゃれな人たちが好んで使うノートパソコンの代表格になりました。その意味では、それまで市場に無かった分野を切り拓いた、イノベーティブで、ものすごく尖ったところを持ったブランドだったと言えます。
そんなスタートから15年経とうとしているVAIOの現ユーザーを見てみると、イメージ的には洗練されたのでしょうが、尖った部分は無くなってしまったように感じられます。これは、「VAIO」も多くのブランドが陥る、ライフサイクルによる「コモディティ化」という課題に直面していることを意味しているのではないでしょうか。「ソニー」が新しく生まれ変わろうとしている今年、「VAIO」はどのようなブランド再生を目指していくのか?今後の動向を注目したいと思います。
*データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
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