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マーケティングのはじめの一歩は消費者を理解することから。変化する消費者動向をとらえるためには仮説が大事。このブログでは消費者理解のための様々な仮説をデータに基づいてご紹介。商品開発・ブランディングのコンサルタントとして、あらゆる市場のイノベーションを目指して日々格闘している大久保惠司がお届けします。

「GREE女子」と「mobage女子」。違いはあるの?-データから見るペルソナ図鑑(4)-

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 なんとなく、ソーシャルメディアを利用している女性がどんな人なのかを調べてみようと思い、ここまで、「facebook」と「mixi」の女性ユーザーの特徴を「クラウド型消費者分析ツール『ぺるそね』」で見てきました。

 次は「Twitter女子」を、と思っていたのですが、諸般の事情(?)から今回は「GREE」と「mobage」の女性ユーザーを見てみたいと思います。

【ほぼ同じ人たちをターゲットにしている?】

 先日著作権侵害の問題で法廷でも争っていると話題になった「GREE」と「DeNA」。どちらもケータイSNSから始まり、ソーシャルゲームのブームに乗って快進撃を続けています。それぞれの女性ユーザーについてさっそく「ぺるそね」で調べてみると、「GREE女子」は1,016人、「mobage女子」は893人の該当者がいらっしゃいました。年齢層はどちらも10代~20代が中心。比較するとGREEの方がやや幅広い年代に使われているようです。

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 参考として、総務省の「日本の統計2011」の人口動態を元に、ぺるそねのデータを補正したグラフを挙げておきます。「GREE女子」「mobage女子」ともに、10〜20代が多いことがご理解いただけると思います。

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 どちらも高校生、大学生などの比率が高く「ぺるそね」の女性全体のデータと比較すると3~4倍含まれています。趣味は「カラオケ」「テレビゲーム」「占い」などが女性全体と比較し2倍以上、興味・関心事では「ギャンブル」「ゲーム」や「恋愛・結婚」が2倍以上と高くなっています。「ギャンブル」以外は若い女性が高くなる傾向のある項目です。

 ちょっと気になったので興味・関心事に「ギャンブル」を選んでいる女性たちのSNSの利用状況を見てみました。他のSNSの利用率も上がっているのですが、「GREE」と「mobage」は差が顕著に現れています。女性全体と比較して「GREE」は2.1倍、「mobage」は2.9倍という高い結果になりました。もしかすると「ギャンブル」への関心の高さと「GREE」「mobage」の利用率には何か関係があるのかもしれません。

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 デモグラフィックから趣味、関心事まで見てきましたが、ケータイソーシャルゲームを利用する層の特徴は捉えられても、「GREE」と「mobage」の差異は「ギャンブル」への関心の高さ程度しか見受けられませんでした。「ぺるそね」のデータでは「GREE女子」の「mobage」利用率は43%、「mobage女子」の「GREE」利用率は48.9%と高い確率で併用されています。要するに利用者がかなり被っているため、大きな差異が出にくいということなのでしょう。

【価値観、感性的な好みの違いは?】

 「GREE女子」は「新しく出た商品は実際に買ってみていろいろ試してみる」という面が強く、「次から次へと欲しいものが出てきて困る」人たちです。また「mobage女子」は「まわりの人が持っているものを、思わず欲しくなってしまう」という面が強く「GREE女子」と同様に「次から次へと欲しいものが出てきて困る」という人たちが多いようです。両者を比較すると「mobage女子」は「GREE女子」に比べ「熱しやすく冷めやすいタイプ」の人が多いという結果になりました。

 実は好きなファッションブランド等の差はあまり大きくはありません。若い女性に人気のあるブランドが支持されています。「GREE女子」は「ローリーズファーム」「g.u.」が女性全体と比較し1.9倍ほど高くなっています。また「mobage女子」にも同様のブランドが人気ですが、さらに「セシルマクビー」や「イング(INGNI)」が2.5~3.0倍高いので、ペルソナイラストではそちらを選択して違いを強調してみました。

 「GREE女子」は「アナスイ」のアクセサリーがお気に入りで、女性全体と比較し1.9倍でした。「mobage女子」は「ディスカウントストア」をよく利用しています。利用するお店は「ドンキホーテ」で、女性全体と比較し1.8倍。携帯電話では「GREE女子」は「シャープ」が32.7%とトップで、女性全体の1.3倍という人気のブランドになっています。「mobage女子」は「シャープ」がトップであることに変わりはありませんが、「NEC」が二番目に多く選ばれており、女性全体の1.3倍となっています。調査時(2011年9月)にはスマートフォンへの移行はそれほど進んでいなかったようです。

 ともかく「GREE女子」と「mobage女子」。全体的にはかなり被っているという印象を強く持ちました。ペルソナ・イラストはちょっとだけ違いを強調しましたので、そのあたりを勘案してご確認下さい。

ペルソナ・イラスト
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【ちょっとだけ考察】

 同じターゲットに同じようなサービスを提供していく。当然同じようなブランドになってくる。多分両者とも若くて伸びている企業だけに、ブランドの差異化にまで行き着いていないのかもしれません。外部からおおざっぱに見ていると、ますます似てきているような気がします。この二つのブランドは同じターゲットを奪い合っているということから、さらに競合の激化は進んでいくと考えられます。

 しかし、ブランディングには差異化が必要です。競合しているブランドとどのような差異を打ち出していくのかが大きな課題になります。冒頭にも書きましたが、著作権の侵害というあたりで係争しているうちは、差異化する段階になっていないということでしょうね。両者とも今後グローバルな市場へ進出し、活躍して行こうというのであればなおのこと、ブランディングが重要になってくるのではないでしょうか。日本発のグローバルブランドとして、伸びて行っていただきたいものです。

 というわけで、今回も突っ込みどころ満載でお送りいたしましたがいかがでしたでしょうか?「ソーシャル女子」シリーズ(?)も4本続きましたので、このあたりでPCユーザーに戻りたいと思います。以前、「Let's note」ユーザーと「MacBook Air」ユーザーの比較をしたときに、「VAIO」はどうなるの?という声をいくつかいただいたので、次回は「VAIO」ユーザーを取り上げてみたいと思います。お楽しみに...。

*データは全て2011年9月「ぺるそね」調べ。n=29,093
*「クラウド型消費者分析ツール ぺるそね」は30,000人の150問にわたるアンケートをデータベース化し、あらゆる角度から分析できるサービスです。利用料金は3,500円〜と手軽にお使いいただけます。
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