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dynabook V713/28JでPhotoshopとOneNoteを使う~Windows 8タブレットの実力は?

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東芝dynabook V713のレビュー記事 2回目は、Windows 8タブレットとしての使い勝手を、特にペン操作に注目して見ていこうと思う。

●Windowsタブレットでしかできないこと

iPadの登場以来、「タブレット」というとiOSやAndroid系タブレットをイメージすることが多くなったように思う。この状況下で、Windows 8を搭載したタブレットがどこまで巻き返していけるのか大変気になっている。今回、dynabook V713(以降、V713)をモニターすることになり、Windows 8タブレットの実力を試す絶好の機会を頂いたと思う。

dynabook V713
写真 dynabook V713

今回モニター中のV713は、「デタッチャブル ウルトラブック」と呼ばれ、キーボードドックをはずすとタブレットのスタイルで利用できるのが特徴だ。(前回の記事「dynabook V713/28Jの第一印象」参照)

やはり、私がWindowsタブレットで一番気になっていることは、「タブレットでもWindowsを選ぶべき理由」だ。
現状のiOSやAndroid端末と比べ、高機能のOSや高性能のCPUを搭載し、さらに高精細の画面やタッチパネル、そしてデジタルペンを搭載したことにより、Windowsタブレットでなければできないことがあるはずだ。それこそが存在意義と言えると思うのだ。

とりあえず、ひとつ思いついたのは、PhotoshopやIllustratorのようなクリエイティブ系の高機能のWindowsソフトウエアの活用だ。ペンがあると、手書きの文字や絵を書き入れたり、細かい修正や範囲指定がしやすくなると思えるし、プロも利用するレベルの高機能のソフトウエアが利用できるのはWindowsタブレットならではといえるのではないだろうか。


●V713でPhotoShop Elements 11を使ってみる

そうはいうものの、PhotoshopやIllustratorのフルスペックバージョンは高価であるため、今回はV713に標準添付のPhotoshop Elements 11(以下、PSE)を使ってみることにする。PSEは、V713に添付のSDカードからインストールできる。

Photoshop Elements 11
写真 Photoshop Elements 11

まず、PSEに花の写真を読み込み、「なげなわツール」と「自動選択ツール」を使い、ペン操作で花の画像だけを正確に切り出すことを試した。

操作の最初の段階で「なげなわツール」を使い、大まかに花の領域を指定する。マウスではやりにくいが、ペンで操作するととても快適な操作感だ。

花の選択操作中
写真 花の選択操作中。

花の輪郭におおよそ合わせて、花の
領域を指定する操作である。


画面では見にくいかもしれないが、ペンでなぞった軌跡が少し光ったように表示されている。この段階で正確に花の輪郭をなぞる必要はないが、マウスでこの操作をするのは、かなりやりにくい。

次に「自動選択ツール」を使い、花びらを正確に領域指定し、花全体を切り出す。

「自動選択ツール」は、ペンでタッチしたピクセルとほぼ同じ値(色や明るさ)を持った領域を、先に選択した領域に自動的に追加してくれるので、かなり正確に花びらの輪郭全体を選択領域に追加できる。また、自動でうまくいかなかった場合には、足りない部分を追加選択したり、逆に余分を切り取ったりして、最終的に切り出したい部分を正確に選択することが可能だ。この一連の操作でも、ペンを使うとマウスよりも操作しやすく、威力は絶大だ。


正確に切り出せた花
写真 正確に切り出せた花


こうして切り出した花は、このあと別の写真と組み合わせて合成写真を作ったり、さまざまな楽しみ方がある。

V713/28Jは、電磁誘導方式と静電容量方式のふたつが共存するという、これまでに見たことのない贅沢なタッチパネルの構成が特徴的だ。本来、電磁誘導方式のタッチパネルでは画面に手を置いてしまっても、手には反応せず、ペン先の軌跡だけが描画の対象になる。電磁誘導方式のメリットだ。
しかし、V713では、静電容量方式のパネルの機能が生きているので、画面に置いた手に反応して、意図しないところに描画が行われたり、アイコンの選択がされてしまったりしないか気になっていた。実際に試してみると、どうやらそのような不都合は起きず、大丈夫なようだ。あたかも電磁誘導方式のペンだけが搭載されているように、特に問題なく操作ができた。
ここからは推測だが、電磁誘導方式のペンで操作しているときは、そちらが優先され、静電容量方式のパネルの動作を抑制しているように思える。なかなか優れもののシステムだ。ただ、ペンを画面からはずすと、いきなり静電容量方式のパネルが動作し、手で触れた部分などに反応するようなので、注意が必要だ。

また、「ブラシツール」を使って手書きの文字を書き込んでみたが、文字の書き出し(ストロークの最初の部分)が欠けてしまいがちで、あまり使い勝手が良くなかった。これは、私個人の印象であり、まだペンに慣れていないのもあるが、(後述のOneNoteとの比較の上でも)PSEの操作感としては、細かい部分に課題が残っていると感じた。

写真に手書きで文字を書いてみたところ
写真 写真に手書きで文字を書いてみたところ。

 文字の書き出し(ストロークの最初の部分)が
欠けてしまいちなので、少し苦労して文字を書いた。

(追記 7/1)
同じ写真に、Photoshop CS2、および Illustrator CS2を使って、同様にペンで文字を書いてみたが、多少の描画の遅れはあるものの、ストロークが欠けてしまうことはなく、Photoshop Elements 11使用時ほど大きな支障はなかった。
特にIllustrator CS2のブラシツールは書き心地が良く、ちょっと驚いたくらいだ。これなら使えそうだ。
数年前のソフトウエアでも、高価で簡単に買い換えるわけにはいかないが、まだまだ使える頼もしいソフトウエアだと実感した。



●OneNoteも使ってみる

V713に標準で添付されているマイクロソフトOffice 2013のOneNoteも使ってみた。OneNoteは、手書きメモや、スケッチを描くのに向いたソフトウエアだ。

OneNoteではPSEと違って、ストロークの最初が欠けることもなく、大変書きやすかった。アプリケーションソフトによって書き心地がかなり異なるようである。

Windowsの他のソフトウエアから「印刷」の機能を使って、OneNoteに印刷イメージの画像を送り込むことができ、それに手書きを加えることができるので、結構便利だ。たとえばオフィスの同僚にWebの記事のリンクを送るのではなく、画像をキャプチャして「ここ見てくれよ」と赤でマークをつけて送るという使い方ができる。

また、私のようにライター業をしている人間には、原稿の校正作業を、手書きで、しかもペーパーレスでできるのも良い。これはなかなか使えそうだ。
パソコンというデジタルツールをアナログ的に使う。考えてみれば贅沢な話だ。


OneNoteで手書きを試す
写真 OneNoteで手書きを試す


●V713/28JはiPadやAndroid系の上を行くタブレットだ

簡単なテストではあるが、当初予想したように、V713/28Jは、PhotoshopやOneNoteのようなソフトウエアを使い、ペンによる操作や手書きをするのにも大変向いていることが確認できた。マウスよりも、ペンで書く方が、細かい部分も正確にコントロールできる。
ただ、細かいところにはいろいろ課題も多い。ソフトウエアのチューニングがまだまだというものもあるようだ。

V713はiPadやAndroidの画面よりも高解像度の画面を持っており、しかも、業務用の相当複雑なツールに至るまでの多様なWindowsソフトの資産がそのまま利用できる。タブレットとしては、iPadやAndroidが優勢となってきているが、まだまだWindowsでなければ利用できないソフトウエアは数多く存在する。
「iPadやAndroid系タブレットがあれば、もうWindowsはいらない」というユーザも増えているのは確かだろうが、まだまだWindowsでしかできない仕事はたくさんあると思うのだ。

次回も、V713に向く使い方をさらに探して行こうと思う。




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