【最遅 #ABC2011S レポ No.2】日本最大のAndroidイベント『Android Bazaar and Conference 2011 Summer』:招待講演編
大隈記念講堂21号館大講堂では、午後から5つの招待講演が行われましたが、取材した3件について簡単にご紹介いたします。
『Android x Mobile が迫る共進化-"競創"を軸とする、これからのDevelopers Community』
山下哲也氏
NTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 コンテンツ推進室 コンテンツ支援担当部長
『HT-03Aがいつ発売されたか知っている方?』『寒いですね』という掴みに始まり、スマートフォンによる変化と未来について、また開発者支援についての講演がありました。
インターネット家電やクルマなどの世界もがやっとネットとシームレスになっていく近未来に、NTTドコモの役割は非常に大きいはずです。
日経BP社 ITpro主催で、 『復興へ、スマートフォンができること。』をテーマに開催されるAndroidアプリコンテストA3 Together にも協賛するなども重要ですが、より大きな自社の枠組みとしてのDevelopers Community支援や育成に期待が寄せられます。
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『スマートフォンとウェブの今 : 10年に一度の変革期』
伊藤直也氏
グリー株式会社 メディア開発本部 ソーシャルメディア統括部長
自らがGreeで経験してきたLAMP(Linux Apache MySQL PHP/Perl/Python)によるWeb構築から、昨今のスマートフォンへの急速なシフトという、まさに10年に一度の変革期について、そして、クラウド環境が整備されたことで、アプリケーション開発者はさっとコードを書いて、さっとリリースできるような環境が整った現状について語り、更には技術者としての誇りについて、『自らが使命とする問題領域をより高度な技術基盤で扱う世界に発展させる事によって、自ら創造する事ができる』と定義するなど、個々のエンジニアが忘れてはいけない事として、強いメッセージとなっていました。
この伊藤氏のような方が、広く講演すると、テレビCMなどのイメージが強いGREEのブランド力向上にもつながるのではないかと感じられる講演でした。
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『スマートグリッドが切り拓く新生スマートニッポン』
村上憲郎氏
村上憲郎事務所代表、慶応義塾大学大学院特別招聘教授、会津大学参与、前グーグル日本法人名誉会長、元グーグル米国本社副社長兼グーグル日本法人代表取締役社
招待講演のラストは、Google日本法人の代表およびアジアでただ一人のGoogle本社の役員だった村上憲郎氏の講演でした。
3年ほど前、筆者が村上氏に依頼をして、慶応義塾大学SFC・國領研・アントレプレナー概論の講義でGoogeをケースとした回にサプライズゲストとして登壇して頂いたことがあり、久しぶりの講演を観せて頂きました。
テーマは、ABC2011Sのテーマでもある震災から如何に再生し復興するかという課題の中でも重要な電力に関わる『スマートグリッド』でした。
スマートグリッド(Smart Grid)=賢い電力網。電力網と情報網が論理的に束ねられたもの。
TED5000というスマートメータのインターネット経由でのデータアップロード事例。
個々の家電の消費電力はまだスマート(賢いもの)ではない。
『足らないのはKwであって、Kwhではない』と。
米国での『デマンドレスポンス(ネガワット取引制度)』という発電所の増強による電力供給の増加ではなく、市場メカニズムにより需要側が電力を削減するネガワットが市場で取引されるモデルについて説明したのち、今後の日本のデマンドレスポンスについて言及しました。
100万戸にスマートメーターを設置し(1戸あたり1万円=100億円)、発電設備投資の資金を、ネガワットの買取資金に充当するというこのモデルは、是非とも実現して頂きたいモデルですし、Google本社が、早期に自社ので発電や省電力への投資・研究も重ねて来た事を考えると、国内の巨大なICT企業も、従前以上に、国の電力政策に委ねるだけではなく、自社の電力戦略が必要な、待ったなしの状況かもしれません。
また、オープンなAndroidが、スマートグリッドの導入や活用の中で、大きな役割を担うことが期待されます。
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[ ソース:AppComing 『Android Bazaar and Conference 2011 Summer特集』 ] -
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