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事業アドバイザーとして活動する以前は、会社の経営者として様々な事業を立ち上げていました。その時代の失敗談、成功談から最近の事業アドバイス事例、改善事例など、事業繁栄のヒントになる実体験を書きます。

専務が辞める時の社長の対応

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私が直接契約した運送会社には、魅力があってすごい専務がいたのですが、その社長もまたすごいと思う人でした。

息子を常務にするあたりは一般的な社長と同じですが、その上に専務を設けたわけです。

身内ではありませんし、古くからいて年齢も上の従業員がたくさんいたのですが、若い人材の力を見抜いて営業所長に抜擢し、専務にまで昇格させたのです。

まさに実力主義ですし、それを実行するのはすばらしいと思いました。

普通なら息子が専務になって、いくら実力がある人でも常務止まりでしょう。

その点もすごいと思ったのですが、専務が辞めるとなったときの対応もすごかったのです。

実力がある人材が抜けるわけですから、会社としては大打撃となります。

それがきっかけで会社が伸びなくなるかも知れませんし、ひょっとしたら衰退してしまうかも知れません。

実力も人望がある人材ですので、一緒に退職する従業員が出るかも知れません。

「あの会社は危ない」とか、「会社に魅力がないから専務が辞めたのではないか?」といった悪い噂が広がるかも知れません。

何より、自分が育てた人材でもありますので、今までの苦労というか教育を持って行かれるようなものです。

普通なら「ここまでしてやったのに、辞めるだと!?」と憤りを感じてしまうでしょう。

でも、その社長は違いました。

そんなことはこれっぽっちも思わずに、専務の独立を歓迎するだけでなく応援したのです。

「フレー、フレー、もと専務うぅ~!」と旗を持って口先だけで応援するのではありません。(笑)

トラック乗りとして独立されたので、トラックを格安で譲り、仕事まで譲ったのです。

トラックを格安で譲るのはできたとしても、仕事をまるまる譲るのは普通はできないと思います。

しかも、安定した良い仕事でしたので、会社としては痛いはずです。

そうして、心から応援する姿勢はすばらしいと思いました。

専務の力で会社が大きくなった面は大きいので、社長としては専務に感謝していたのだと思います。

専務がいなければ、ここまで大きくならなかったかも知れませんし、滋賀営業所も出せなかったかも知れません。

社長はそういった考えだったと思います。

だから、独立を歓迎してバックアップしたのです。

「なにぃ、辞めるだと!?今までの恩をなんだと思っているんだ。このヤロー!」と思うような社長とは正反対ですね。

力がある社長だから専務も力を付け、会社も力を付けたわけです。

いろんな意味でとても勉強になる社長でした。

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