時間をコントロールできる人と、時間に支配される人

　なぜ、ファイリングするのか？
　それは、本来の仕事の時間を最大化させるためです。

　あらかじめ、ファイリングをしておくことで、この書類探しの時間を減らすことができます。
　この話は、このブログでも何度も書いていますが、今日はもう少し踏み込んだ話をしたいと思います。

【書類探しは、計画的な業務遂行を破壊する】

　今日、どんな仕事をするか。皆さんある程度（書いたりしていなくても、頭の中くらいでは）計画的に進めていらしゃるかと思います。

　例えば、午後お客様の所に行かなければならないとしたら、午前中にその準備をする、とか。
　忙しい方は、そういうことがもっと緻密に、ギュウギュウに詰め込まれていることでしょう。

　そして、その仕事が、計画通りに進むのが、基本的には一番いいはずです。

　ところが、仕事というのはそううまく行かなくて、計画を乱す要因はいくつも発生するんですよね。

　その一つが、書類探しです。

　他の所でも言っていますが、書類探しは、何の生産性もない、完全に無駄な時間です。
　ところが、どうしてもその書類がないと仕事が進められなかったらどうでしょう。
　見つからない限り次へは進めません。

　もう、その仕事を始めるべき時間はとっくに来ているのに、まだ書類探しをしています。どうしても今必要な書類なら、ほかの仕事を止めてでも、今やるしかありません。

　止められた方の仕事は商機を逃すかもしれません。
　納期が遅れればお客様の信用を失うかもしれません。
　でも、今この書類が見つからないとなるとそれもまずい...。

　完全に瀬戸際です。

【時間投資と時間の後払い】

　このように、必要に迫られた書類探しは、自分でやる時間を選べません。時間の使い方を、誰かに、何かに、支配されるのです。

　「本当は、見積を書かなくちゃいけないのに」
　「本当は、外出しなければならないのに」

　そう思ってから後悔しても遅いのです。

　こうならないようにするために行う準備が、ファイリングです。
　いざと言うとき書類が探しやすいように、準備をしておくのです。

• 検索時に目が届きやすいよう、不要な書類は捨てておく。
• 書類検索がしやすいよう、書類を立てて収納しておく。
• ファイルを開かなくても中身が分かるよう、ファイルには見出しをつけておく。

　予めしておく準備は、まだ切羽詰まった状況になっていないうちに行うので、やる時間を自分で決められます。この行動を、私は「時間投資」と呼んでいます。
　差し迫った状況にはなっていないわけですから、明日とか、明後日とか、来週とか、余裕を持って自分自身の時間を予約できるのが、時間投資の良いところです。
　後は予約した通り、時間投資を実行するだけです。
　計画していたのですから、それが他の仕事を圧迫するはずがありません。そもそも圧迫しない日と時間を選んで組んだのですから当たり前です。

　こういう準備をしておけば、いざ、「あの書類はどこだっけ？」という状況になっても、すぐに目的の書類を見つけ出し、次の仕事に入ることができます。

　準備をしていなければ見つかるまで書類探しするしかありません。それが3分で済むのか、1時間なのか。自分でも分からない。計画もたたない。時間の使い方がコントロール下にない状態です。
　このような時間の使い方を、「時間投資」に対して「時間の後払い」とでも申しましょうか。

　お金と同様に時間の後払いも、利息を支払わなければならないケースがほとんどです。

　手にした書類をファイルに綴じる、そのわずかの時間を惜しんだために、一週間後に書類探し30分...、そう珍しくないケースです。

【参考】「捨てる」と言う名の時間投資術：１か月満期コース　～目論見書編～

　いかがでしょうか。

　ファイリングは、書類探しの時間を減らしてくれる、というだけではなく、「いつ、どのくらいファイリングに時間をかけるか」がコントロールできるのと、「やる時もかける時間も自分では決められない」という違いもあるのです。

　今、何するか。その意思決定が自分の思い通りに行かない。

　これは、単に時間を取られる、と言うことよりももっとずっと手痛いことなのではないでしょうか。