事件は机で起きている!
少し硬い話が続いてしまいましたが、やっぱり、ファイリングをする上で、ファイル管理表の話は早いうちにしておきたかったので、こうなってしまいました。
あ、皆さん、こんにちは。キングジムファイリング研究室の野原です。
今回から、再び机の上の話に戻しましょう。当社のセミナーでも最も人気の高い、机の上をきれいに保つ、シンプルな方法を何回かに分けてご紹介します。
【安全な環境で作られる情報だからこそ信頼できる】
我が国の工場の多くは、お客様の信頼を得るためにたゆまぬ努力をしています。5Sもその一つです。
では、オフィスはどうでしょう。オフィスで何が生み出されているか。それは、情報です。
「ヒト、モノ、カネ、情報」そんな言葉を耳にした方も多いと思います。情報は、仕事にはなくてはならない重要な要素です。今は、必ず何らかの情報が直接的、間接的に付加されて、それが価値を生み出しているのです。
情報、それだけが商品となる場合も珍しくない世の中です。
その情報を生産するのはあなたの机です。つまり、机は情報という商品を生み出す生産工場なのです。その情報が最終的にはお客様のもとに届き、そこにお客様は間接的かもしれませんが、対価を支払っています。
ですからお客様はその情報が、信頼のおける工場で生産されたものであることを期待しています。
さあ、消費者の立場に立って、ご自身の机を見てみてください。
・ミスが起きそうな環境ではないか。
・同じことを何度も繰り返さなければならないような、ムダの多い環境ではないか。
・書類探しに時間をとられる、コストのかかる環境ではないか。
自分が消費者なら、安心できる環境で生産された製品を買いたいですよね。個人情報を預けたり、機密を共有するなら、信頼のおける環境で管理して欲しいですよね。
自分の机をそういう環境にしましょう。机の上が情報の生産工場なら、やはりここでも5Sをするべきなのです。それは仕事に対する自信にもなりますし、質も上がります。きっと何かが変わるはずです。
【事件は机の上で起きている】
情報の管理は、今、強く求められており、それはあなたの机の上も同じです。
入退室の制限やキャビネットに施錠することが情報管理だと思われている節を感じますが、私は優先させるべきは机の上だと思います。
なぜでしょう。事件は机の上で起きるのだと、私は思うからです。
社員が退勤した後の会社に侵入し、施錠されたキャビネットをこじ開けて書類を盗む...。こんなケースの情報漏えい事件はほとんどありません。
多くは社内に入る資格を持ち、キャビネット内の書類を手にする権限のある方が、正当な手続きを踏んで手にした書類を、なくしたり、置き忘れたり、間違えて捨てるなどの「管理ミス」で起きています。
正しい手続きで手にした書類で起きる事故では、入退室の制限も、キャビネットの施錠も、効果がありません。
手にした書類を、閲覧したり、加工したり、発信したり、捨てたりするのは、すべて机の上です。ですから書類に関するミスが起きるのは机の上であって、多くの管理ミスが起きるここが危険なうちは、情報セキュリティの対策は不十分だと思うのです。
まずは、あなたが椅子に座って仕事をするとき、目の届かない所があって欲しくないのです。見渡せて、判断できて、素早く行動できる。
車の運転で言うところの認知・判断・操作みたいなものですね。これらのバランスが適切でなかったり、劣る人は運転がヘタクソなわけです。ですから、安全運転したいと願う人なら、視界を妨げるところにわざわざ荷物なんか置いたりしないわけです。
仕事も同じです。視界や作業を妨げたり、判断に時間を要するようなものが山積みの机で、いい仕事はできません。
【机の上に置かれる書類は主に2種類】
あなたの机も見渡せて、判断できて、素早く行動できる、そういう環境の生産工場にしましょう。そのためには机の上に積み上げられた書類の山を整理しなければなりません。
ところで、机の上に積み上げられてしまう書類、一体どんなものなのでしょうか。
それは、「作業中の書類」か「伝達書類」、この2つです。
長期にわたって机の上に置かれてしまい、今は根が生えてしまっているような書類も、元はこのどちらかだったはずです。
つまり、この2種類の整理方法を身につければ、机の上はかなりきれいになる、と考えられます。
次回からはこの2つの書類の具体的な管理方法を、お話しすることにしましょう。