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大量消費をボイコットしはじめた生活者視点からのインサイトメモ

ブランドと固有名詞

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【ブランドと固有名詞】

以下、「基本の基」ですが、ポイントをいくつか列記します。

ブランドは「固有名詞」にならなければならない。
「固有名詞」化するということは、翻訳不可能な存在になるということです。

たとえば、「白い犬」という普通名詞はどのような言語にも翻訳可能ですが、「ホワイト」君という名前の愛犬がいたとすると、その子は飼い主にとって永遠に「ホワイト」君なのです。それを翻訳することはできません。「固有名詞」化するということは、かけがえのない存在になるということです。

ブランドコンセプト/スローガン
これも、翻訳可能・言い換え可能な「説明書き」を「固有名詞」化するプロセスです。

たとえば、初代ロードスターの開発過程では、開発責任者である平井主査が「人馬一体」というコンセプトを打ち出しました。

「人馬一体」という考え方そのものは、どんなクルマにも当てはまるような「望ましい仕上がり具合」を表す言葉です。しかし「人馬一体」と声高に謳うことによって、それをロードスターにのみ当てはまるような「固有の価値」にすることができるのです。

ロードスター(Roadster)というネーミングは、Road(道)+Ster(者)という意味です。意訳すると「走り屋」。この名前にも「人馬一体」という考え方が反映されています。

マツダ株式会社は、湾岸戦争後の「失われた十年」に危機的状況に陥りましたが、そこから復活するキッカケとなった商品群の開発プロセスにおいて、「人馬一体」というキーワードをロードスターだけに限定せず、すべての車種に共通した合言葉としているようです。

それによって、MAZDAというブランドを好きになって購入を検討するオーディエンスの誰もが期待するところのブランド価値として、「人馬一体」のフィーリングをそこに見出すようになったのです。

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MAZDA3

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