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大量消費をボイコットしはじめた生活者視点からのインサイトメモ

大型連休憲法記念日の推薦図書【憲法の無意識/柄谷行人】

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【憲法の無意識/柄谷行人】
(岩波新書 2016年4月20日)
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僕なりに解釈・要約するとすれば以下の通りです:
・マッカーサーは天皇制を残さなければ日本は内戦に陥ると危惧していた。
・天皇排除に傾いていた欧米列強を説得するための切札が戦争放棄だった。
・従って憲法第一条(天皇制)と第九条は切っても切れない関係にある。
・後に米国は再軍備を求めたが拒否したのは他ならぬ日本の国民だった。
・明治以来の富国強兵策についての悔恨は日本人の心に染みついている。
・戦争放棄は徳川の時代に数百年続いた平和を反復することでもある。

この本を読み解く鍵は文中に引用されたフロイトの一節にあります:
《人は通常、倫理的な要求が最初にあり、欲動の断念がその結果として生まれる考えがちである。しかしそれでは、倫理性の由来が不明なままである。実際にはその反対に進行するように思われる。最初の欲動の断念は、外部の力によって強制されたものであり、欲動の断念が初めて倫理性を生み出し、これが良心という形で表現され、欲動の断念をさらに求めるのである。(「マゾヒズムの経済論的問題」『フロイト全集18』岩波書店)》

「最初の欲動の断念(戦争放棄)は、外部の力によって強制されたもの(日本国憲法)であり、欲動の断念が初めて倫理性を生み出し、これが良心という形で表現され、欲動の断念をさらに求める」・・・これが日本人の良心(超自我)なのだと。そしてそれはプロパガンダによって変えようとしても変えようがない。

真のリアリズムとは、そういうものだと思います。

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