消極的な性格を変えるために、留学を考えることはオススメできない
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「留学したことで、何か変わったことってある?」と聞かれることがあります。
私がもっとも影響を受けたのは、「考え方」と「金銭感覚」の2つです。
(一口に留学といっても、個人差もあれば、置かれた環境や時代もあるので、決め付けはできないですので、以下は私のイチ体験と思ってください)
■ 考え方は激変
考え方は大きく変化しました。いや、激変といってよいくらいです。
人種のるつぼと呼ばれる通り、肌の色もルーツもバラバラなだけあって、均一的な常識というのがありません。良し悪しはさておき、誰しもそれなりに「自分の考え方」、「ポリシー」的なものを持っています。他人にどう思われているかとか、自分の考えが多数派か少数派かでさほど悩みません。このへんは日本とは大きく異なる部分です。
そのせいで衝突を生むことはあります。でも、他人に嫌われたくないがためになんとなく調子を合わせておくといった日本的対応(いわゆる空気読め)をしなくてもすみます。そういえば、「論理的思考に基づく議論の方法」といった授業は大学の必須科目でした。対立関係を生まず、にこやかに議論をぶつけ合う手法を授業でも学びましたし、日常生活で実践することも多々ありました。
加えて、「自分のことは自分で決める」意識も徹底しています。大学4年のころの話になりますが、同級生と進路(就職)について相談するとか、意見を交わすといった光景はまったくの皆無でした。誰もが、「自分のことは自分で考えて決めるのが当たり前。他人の意見を聞いてどうするの?だってオレ(ワタシ)の人生だよ」という雰囲気はありました。(別に他人に無関心というわけではないですよ。「お前はお前の道で頑張れよ!」的な励まし合いはあります)
そんな経験を通じ、何事に対しても、「自分はどう思う?」、「他人の意見に流されていないか?」、「オレはどう行動したいの?」と自問する習慣は今も続いています。
■ 大きく変わった金銭感覚
考え方以上に変化したのが、じつは金銭感覚です。これは(貧しい国々出身の)アフリカ人のルームメイトと常に衣食を共にしたことが影響しているのですが、要するにお金の使い道を常にシビアに考えるようになったのです。
アフリカ人留学生は、とてもモノを大事に扱い、めったにお金を使いません。ジュース1本、キャンデー1個さえ我慢しますし、洋服を買うこともほぼありません。壊れたCDラジカセのラジオが生きていればラジオとして使い続けます。そういう姿を見ていると、とても自分だけ好き勝手に振舞おうという気にはなれません。たまの息抜きといえば、せいぜいダラーシアターでの映画鑑賞(1ドルで観れる公開後数ヶ月経過した映画のこと)と3ドル99セントのピザハットでの食べ放題くらいなもの。
「これは本当に必要なものか?」、「衝動買いをしてはいまいか?」、「安く代用できる方法は検討したのか?」と購入意識にブレーキをかける習慣がかなり染み付きました。
その頃の習慣がいまでも残っていまして、私は高校生以来床屋に行ったことがありません。髪が伸びたらルームメイトに切ってもらい、今は嫁さんに切ってもらっています。べつにお金に困っているわけではなく、「行かなくても済むんじゃない?」という意識がそうさせています。
(床屋にいく習慣のなくなったアメリカ留学経験者って、じつはすごく多いと思うのですが・・・というのも、すごく少ないんですよね、床屋とか美容室が。まあ、私がずっと田舎に住んでいたからかもしれません)
ちょっと話がズレますが、じつはギャンブルの経験が皆無です。麻雀はルールすらわかりませんし、馬券の単勝とか複式の意味はいまだに不明です。パチンコは穴に入れればよいということは知っていますが、それ以上の知識がないです。
いい歳こいた大人が、ギャンブルのひとつやふたつたしなめないのは格好悪いなというコンプレックスを持っている一方、知らないほうがいいような気もするので、たぶん一生縁はないでしょう。
ちなみに性格の変化ですが、あまり起きませんでした。(変わるのかなと期待していた部分はあったのですが)
思うに、18歳からの留学だったので、きっと性格とか人格は固まった状態だったのでしょう。帰国後に変化を他人から指摘されることもほぼありませんでした。元々人見知りするタチですが、留学したからといって底抜けに明るいパーティ野郎にはなることもなく、不特定多数が集まるパーティーは今も苦手ですね。
幼い頃から異国で暮らしているような、いわゆる帰国子女的な方々はまた違うと思いますが、10代後半からでは性格の根本はさほど変わらないのではと思います。あと、個人的な意見ですが、「消極的な性格を変えるために、留学を考えてます」のはそもそもの理由としてどうなんだと思いますし、効果も薄いような気がします。
つづく
代表 中山順司
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