今週のまとめ:生成AIを使いこなす5つのステップ
今週は、生成AIツールを使って、ブログを書いてみました。なかなか良い勉強になりました。そんな経験を踏まえ、生成AIをうまく使いこなすにはどのような手順を踏むべきかを整理してみました。よろしければ参考にしてください。
1.明確な課題設定と目的の定義(問いの設定)
ポイント:
- 本質の把握: 何を解決したいのか、どんな情報や答えを得たいのかを明確にします。
- ゴールの具体化: たとえば、レポート作成なのか、アイデア出しなのか、具体的なアウトプット形式も設定します。
実践例:
- 「日本における気候変動の影響について、農業面での課題と対策を明らかにしたい」と目的を定め、アウトプットは「分析レポート」と決める。
2.適切な問いの表現(プロンプト設計)
ポイント:
- 具体的な指示: 抽象的な問いではなく、背景情報や条件、トーン、必要なデータ範囲などを盛り込みます。
- 言葉の選定: 自分の意図や思想が正確に伝わるよう、分かりやすく具体的に記述します。
実践例:
- 「過去10年間の気候変動データに基づき、日本の農業が受けた影響と今後の対策について、具体例を交えた分析レポートを作成してください」と指示する。
3.生成AIの出力解釈とフィードバック
ポイント:
- 内容の精査: AIが生成したアウトプットが、自分の設定した目的や問いに沿っているか確認します。
- 適切なフィードバック: もし不足や誤りがあれば、どの部分を修正・補完すべきか具体的にフィードバックします。
実践例:
- 作成されたレポートで「分析部分が簡略すぎる」と感じた場合、追加で「具体的な統計データを用いた詳細な分析を加えてください」と再度依頼する。
4.反復的な試行と修正(イテレーション)
ポイント:
- プロセスの繰り返し: 初回の出力で完璧な答えが得られなくても、対話を重ねることで精度を向上させます。
- 段階的な改善: 新たな疑問や発見に合わせ、問いを再構築し、より深い回答を引き出します。
実践例:
- 初回のレポートで不足を感じたら、追加の質問として「気候変動の原因と、それが農業に与える具体的影響について、さらに詳細に述べてください」と指示し、複数回の修正を重ねる。
5.最終編集とターゲットへのカスタマイズ
ポイント:
- 受け手の視点: 生成AIのアウトプットを自分の感性や、伝える相手の知的水準、関心に合わせて最終的に調整します。
- 言語・表現の最適化: 報告書やプレゼンテーション用に、専門用語の解説や分かりやすい表現への書き換えなど、人間ならではの編集を加えます。
実践例:
- 政策決定者向けのレポートとして提出する際、専門用語の説明を付け加え、簡潔かつ説得力のある文体に修正する。
以上の5つのステップを実践することで、生成AIの出力を効果的に活用し、目的に合致した高品質なアウトプットを得ることが可能になります。これにより、生成AIの強みを最大限に引き出し、自分の意図や視点が反映された成果を上げることができます。
改めて思うのは、上記のステップをこなすためには、人間にも高い教養と知性が必要だということです。問いが設定できない、対話をするにも疑問や質問、改善点を思いつかないということになれば、このステップは意味を持ちません。結局のところ、生成AIの性能が向上すればするほど、人間もまた、自分の知的性能を向上させなければならないことになります。
このことはとりもなおさず、生成AIを使いこなせる知性と教養を持っている人間が、仕事に於いてパフォーマンスを高め、それができない人たちとの格差を広げてしまうことになります。これまでなら、人間に頼っていた仕事を生成AIに代替させられるわけですから、指示や依頼をする相手が人間ではなく生成AIに代わることになり、指示を待ち、その通りにやることしかできなかった人たちの仕事は、生成AIを使いこなせる人で完結しますから、結果として、使いこなせない人は、仕事を奪われることになるのでしょう。
今後のAIエージェントやAGIへの発展を考えると、「問いの設定」は、特に重要です。生成AIを使う上での起点であり、ここは当面は、AIには代替できないところです。それ以降についても人間の教養や知性が求められる領域であることに変わりありませんが、ここはかなりAIに助けてもらうことができるようになるでしょう。
「野村総合研究所が2024年8月に実施した最近の調査によると、日本人の間で生成AIの認知度と使用率に大きな差があることが明らかになった。61%の人は生成AIを知っているが、実際に使用したことがあるのはわずか9%だった。」
このようなレポートが出ていましたが、これは少々心配です。日本の労働生産性の低下に拍車がかかるのではないかと考えられるからです。
私は仕事柄、「ITの最新トレンド」や「ビジネス戦略」についての講義をしていますが、この現実を実感しています。「ITは難しいから」と遠ざけて、それを味方に付けようという意欲が実に低いのです。アメリカに在住するビジネス・パーソンと話しをすると、彼らのITに対する感性の高さに驚かされることがあります。日本の現実とギャップは大きく、これが産業競争力の差を生みだす大きな要因ではないでしょうか。
AI技術の発展が加速度を増しているいま、わずかな遅れは、大きな格差となってしまいます。まずは、この現実に気付いた人が、行動を起こすしかありません。
【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版

生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
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