【図解】コレ1枚でわかるSDIとIaaS

道路や鉄道、電気や電話、病院や学校など、私たちの生活や社会を維持する基盤を、インフラストラクチャー（略して「インフラ」）と呼んでいる。

ITの利用もまた、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器、これらを設置するデータセンターなどのITインフラに支えられている。

ITインフラは、従来、情報システムに応じて、個別に調達・構築するものだった。しかし、ビジネス環境の不確性が高まり、先行きを見通すことも難しく、必要となる機能や規模を予測することが困難となり、需要が読めないままのITインフラの調達・構築には、大きなリスクを伴うようになった。

この状況を打破する技術として「仮想化」が注目されるようになる。「仮想化」は、ハードウェア資源を予め用意しておけば、そこから用途や目的に応じて、物理的な作業を伴わずソフトウェアによる操作や設定で必要なシステムの機能や性能を調達できるソフトウェア技術のこと。

インフラを構成する全てのハードウェア資源にこの「仮想化」の技術を使えば、「ソフトウェアでシステム構成を設定、定義できるインフラ」が出来上がる。ただし、物理的なハードウェアの仕組みを理解し、その組合せを構成できる知識と技術が必要となる。

ならば物理的なハードウェアの構成や機能を理解していなくても、ポリシー（目標値・制約事項など）を設定すれば必要な性能や機能を調達できるようにすれば、インフラの専門知識を持つインフラ･エンジニアの手を煩わせることなくITインフラを調達できるようになる。アプリケーション・エンジニア自らができるようになれば、開発->テスト->本番への移行にも迅速に対応できるようになる。このようなインフラを「SDI（Software-Defined Infrastructure）」と言う。

SDIを使えば、サーバー、ストレージ、ネットワークのハードウェア、それ設置する設備とこれらを安定稼働させる運用をシステムに任せられる。これにより、ITインフラの調達や構築に掛かる負担は大幅に削減され、変更にも即応できるようになる。

このようなSDIを個々の企業で個別に構築することもできるが、それでは、各企業が膨大な設備投資を担わなくてはらない。ならば、このSDIを複数の企業で共用すればいい。例えば、私たちが電気を使うとき、発電所の設備や運用を気にすることがないように、そして、使った分を電気料金のように支払えているのと同じようにITインフラを使えれば、個々の企業が個別に大きな設備投資をしなくてもすむ。

そこでSDIに、システム資源の使った分を計測し課金する機能や容易に使いこなすためのメニューを用意したサービスが登場した。それが、それがパブリック・クラウド事業者の提供するIaaS（Infrastructure as a Service）だ。

もちろん、個別の構成や運用にこだわる企業は、独自にSDIを構築することもできる。これがプライベート・クラウド（のIaaS）だ。SDIは、こんなクラウド・コンピューティングのIaaSを支える技術でもある。

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