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ゆるい入れ歯のバネを修理して合わせた症例

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「入れ歯がゆるいんです」
 部分入れ歯の悩みをお持ちなのは50代男性のUさんです。
 歯に金属のバネを引っかけて固定する部分入れ歯は、着脱を繰り返してみると確かにバネがゆるんでいました。
 そこでプライヤーでバネを締めました。一般的にはこれで解決します。
 
 しかし数日後、まだ入れ歯がゆるいとUさんは再び来院しました。
そこで型をとって石こう模型を作製。模型とバネの間に1ミリもないほどですがスキマが確認できました。多くの場合、1ミリほどのスキマがあってもバネの先端さえ合わせれば使えるのですがUさんの場合はそれでは不十分でした。

 そこで模型に合わせてスキマが「ゼロ」になるように新しくバネを作り直しました。完成したバネを合わせると
「あっ、ピッタリしました!」
 無事に部分入れ歯は入りました。
 このようなバネの作製は外注の技工所には任せられません。ここまでシビアな内容を発注したら技工所に泣かれてしまいます。
 まして最近流行の3Dプリンターやデータを入力して機械に任せて作るやり方では絶対に不可能。患者さんの口腔内の細部までよく知っている歯科医師が自ら作るからこその作品です。
 コンマ数ミリの調整で世界が大きく変わる。そんな物づくりの深淵に触れた気がしました。

いとう歯科医院ホームページhttps://www.ireba-ito.com

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