人事部の仕事は人の評価と配置決めだけではもうもたない -仕事と人とをつなぐ力が問われている-
こんにちは、家庭内人事の都合により子育てしています。松井です。
うそです、会社辞めて家に引きこもりたいと言ったのは僕の方でした。すみません。
僕は10年ほど前から、中小企業向けのIT導入支援を生業としてきました。
10年前に比べればITの導入が進んでいるし、導入、運用にかかるコストに対する納得感も広まったと感じています。
ただ、数年前から始まったIT環境のモバイル化の中で、また昔と同じ問題が起こっているように思います。
最近目にした中ではこれなんかが最たる例かと思います。
先生が端末に使われてしまっている。ただ、人事権を握られているので声を上げることが難しいのです
先生が端末に使われてしまっている。ただ、人事権を握られているので声を上げることが難しいのです
「検証機と違う端末が選択された」「人事権のせいで現場の改善提案が押さえつけられている」といったところでしょうか。
おそらく人事の考えとしては「同じように動くタブレットなんだから安いほうがいいだろう」「足りない部分は人が補えば良い」ということなんでしょうかね。
こうしたニュースから見えてくるのは、人事を担う方々の力量不足です。
- 役割分担の重要性への理解
- 必要なコストを見極める力
- ITへの正確な理解
「役割分担の重要性への理解」に関しては、昔から変わらずという感じですね。
パソコンが導入された時も、人とPCでできることの違いを理解されず、単に作業量が増えたという現場を見てきました。
例えば、Excelでも従業員が計算機で計算した結果を入力して表を作ったり、販売管理ソフトと紙の伝票を並列で処理していたり。
その上、ちゃんとPCに仕事を任せて効率よくやっている社員は手抜きと評価されることもありました。
PCが得意なこと、人間にしかできないことを理解し、評価の軸を生産性向上に置かないと現場は結構悲惨なことになりますよね。
「必要なコストを見極める力」といったところも、人事の弱いところという感じがします。
上記のニュースでも、iPadの3分の1以下のコストで済むAndroidタブレットを導入することで、導入費用は抑えることができました。
でも、その後のトラブル対応で運用コストが大幅にかさむことになっています。
それでも人事の頭に、「保守契約費のなかでやってるんだからコストは同じ」という考えがあるとしたらちょっと致命的な感じです。
金額的な面以外での重要なコストである「機会損失」のダメージはかなり深刻になります。
iPadの導入でかかる金銭的なコストなら、生産性向上によって回収できる可能性はあります。
でも、トラブル等による機会損失は何も生み出さない、純粋なコストです。
この辺の見積もりを誤ると安物買いの銭失いを地で行く事になります。
必要なところにはちゃんと金をかけるというのが大事なんですが、「役割分担」を理解していないとそもそも何が必要なことかもわからないかもしれません。
勤務態度とか、労働時間の長さで評価しているうちは無理でしょうなぁ...
最後に「ITへの正確な理解」です。
タブレットだったら何でも大丈夫っていう雰囲気を上記の記事からは感じました。
でも、例えば車だったら、フェラーリを試乗して気に入ったけど値段が安い軽自動車にするとかありえないですよね?
もし予算が取れなかったら軽自動車を試乗し直すと思うんですよ。
それと同じで、もし機器を買えるんなら導入予定のものでやり直せと。
同じように操作するからって同じものではないし、ましてやAndroidなんて機種ごとのばらつきが多いんです。
これ、どう考えてもITを全く理解してない人が決定権を持ってるんですよね。
ITは魔法じゃないんだから。
確かに近頃は魔法みたいな技術も出てきてるけども。でも、ちゃんと頭使わないと使えないから!
IT化を進めるにあたって、決定権を持つ人は経営とIT技術の両方を理解してないと結構厳しいですよ。
理解できないとしても、専門家を含めて議論しないとこんなことになるんですね。
とは言え、役所とかで権限を持ってる頭のかたいおじさんたちに、これからITを理解しろって言っても無理そうなんで、直接脳みそに電極刺して、プログラムをインストールするしか無いのかもなぁ。
COBOLで書いたプログラムじゃないと動かなそうだけど。