Excelは一日にしてならず、ただし設計図は手に入る: 書評 - たった1日で即戦力になるExcelの教科書
ここのところめっきり本を読んだ時しかブログを書かなくなりました、松井です。
主夫は結構忙しいです。
そんな忙しさの中、これはと思った本。それはExcelの本。
ITmediaを御覧の皆様のことですから、「なーんだ、Excelか。」と思った意識の高い系の方もいらっしゃることでしょう。まあでもちょっと話を聞いてください。たかがExcel、されどExcelです。
と、ここで本書を紹介する前に前提条件として僕の立場をお伝えしておきます。
僕は2014年9月からこの本の執筆者が代表を務める「株式会社すごい改善 」にパートナーとして参加しています。
はい、ガッツリ身内です。
ってことは、宣伝? そう思いましたよね? そうですよね?
まあ、正直それもあるんですが、いいものはいいので紹介しています。というか、いいもの作ってない人はパートナーとして選びませんし。
そういったわけで色メガネを外すか、もっと色を濃くして真っ黄色の笑瓶メガネで見るかはお任せします。
前置きが長くなりました。
まずこの本、Excelが大好きでExcelの知識を深めたいということだけに興味を持っている方には全くお勧めできません。
なぜか。
Excelマニアを目指す方にとっては紹介されている機能や関数が圧倒的に少ないです。そう、言い換えれば絞ってあります。
本書は、執筆者が現場で得た実務の知識と知恵をもとに必要最小限に絞った内容となっています。つまりは、現場で役に立たなかった機能や関数についてはごっそり削ってあるのです。
ですから、Excelの機能を極めたい、隅から隅までずずずいと知り尽くしたい方は本書には目もくれず、関数辞典やポケットリファレンスあたりを片っ端から読んだほうが良いです。
では、本書が目指すものはなにか。
それは、雑多なデータを整理し、有効な情報を取り出す方法を学ぶことです。
そう、Excel本にしてExcelハウツーにあらず。表計算において経営に役立つ結果を導き出すための知識と知恵を授けるものです。
そのために必要な、最低限の機能や関数、さらにはそれらを使いこなす知恵が詰まっています。
一日かかってきれいなExcel表を作りました、そんな自慢をするのは今日で終わりにしましょう。パソコン教室ではそういったテクニックは学べるのですが、実務において役に立たない。そんな悲鳴を著者は現場でたくさん目にしたようです。
そんな惨状を改善すべく書かれた本書で、おそらく最も著者が言いたかったことは第8章の「成果につながるExcel仕事の本質をおさえる」であろうと思います。
機能を一生懸命勉強する、関数の使い方を工夫するというのはこの章を難なくこなすために必要な最低条件とさえ思えるほどに第8章の内容は充実しています。
もしどうしても、あなたにお金が無くて立ち読みで済ませたいならば、まずはこの第8章から読むことをオススメします。勘の良い方ならこの章を読むだけで、もしかしたらあとは自力でなんとかなるかもしれません。保証はしませんけどね。
これまで書いてきたとおり、本書はExcelの機能を教えるための本ではなく、いかに有効なデータを導き出すかに焦点を当てた内容になっています。ITシステムを導入したにもかかわらず業務がどうも効率化していないという場合にはもしかしたら最適な本なのかもしれません。
まずは数字の処理内容がよく見えるExcelで、業務を組み直してみてもいいのではないでしょうか。その時にはきっと本書が役に立つのではないでしょうか。