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ウェブだけじゃない「フリー戦略」の未来

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2011年1月7日、ワークスアプリケーションズ(以下 ワークス)が同社サービスを利用している企業に対してコンサルティングを無料で行うという発表をしました。

「ワークス、COMPANYユーザー向けに経営戦略実行支援コンサルを無償で提供」- CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/service/20424785/?ref=rss
従来、コンサルティングといえば百万円単位で行われていることが一般的であったことを考えれば異例中の異例とも言えるでしょう。

これまでウェブサービスには、このような「フリー戦略」をとるものも多くあります。

ウェブサービスはコストを押さえて提供することが可能であるため、無料で提供することが結果的に多くの利益を生むことにつながりました。

しかし、ワークスはコンサルティングという、多くのリソースを要するサービスをフリーで提供することを選択しました。

ワークスがなぜ、このような戦略をとったのか、それによってどのようなメリットがあるのか。それらを考えることで、今後のフリー戦略のあり方を考えたいと思います。

今回の検討事項

今回のエントリーで検討することは以下の3つです。
-ワークスの主力商品
-情報の価値の大きさ
-顧客は何にお金を払うのか

この3つの点からワークスの戦略を検証することで、他の企業においても再利用可能な”商品販売のフレームワーク”を見いだせる可能性があります。

ワークスの主力商品

ワークスの主力商品といえば「COMPANY」という強力なERPパッケージです。

また、COMPANYの導入に関する支援や業務代行なども行なっています。

COMPANYの特徴は、数多くの企業への導入やコンサルティングの実績から導き出した企業業務の最適解を反映したERPパッケージと言えるでしょう。

ソフトウェアのカスタマイズを行わないことから、完成度への大きな自信が見て取れます。

この後に述べる項目に関しても、この「最適解」が重要なキーワードになります。

情報の価値の大きさ

ワークスの主力商品「COMPANY」の特性からすると、このソフトウェアで重要なことは機能や拡張性といったものではなく、顧客からのフィードバックの反映ということが言えるでしょう。

つまり、主力商品を構成する要素の最重要点が顧客情報ということです。

今回の無償コンサルティングサービスでは、顧客にメリットを提供すること以上に、様々な顧客の状況を、精細に把握することがもっとも大きな課題となるのです。

そして、細かなデータをもとに磨き上げたソフトウェアが、さらに多くの顧客を生み出し、長期的な利益を生み出すことになります。

「COMPANY」が利益を出すために重要な要素が顧客情報であり、その情報の価値がコンサルティングのコストを上回ると見たため、今回のフリー戦略につながったのでしょう。

そして、ワークスとしては無償にしてでも、少しでも多くの情報が欲しいということがよくわかります。

また、値引きや期限付きの無償化という半端な策ではないことも大きなインパクトを与え、他社とは一線を画しています。

顧客は何にお金を払うのか

上記2点はワークスからの視点で見てきましたが、今度は顧客からの視点で検証します。

コンサルティングというものはそもそも、顧客との情報格差の上に成り立っています。

その格差とはどういったものでしょうか。それは、
-アイデアの差
-外部からの視点
-実績という担保

顧客企業が思いつかないようなアイデアを持って問題解決の案を提供することで、顧客にメリットがあるため、そのアイデアにお金を払うのでしょう。

そして、内部では気づきにくいことも客観的に監視して、問題の核を見極め、提示するのもコンサルタントの役割です。

また、数々の実績があることで顧客に安心感を与えます。多くのパターンから最適なものを提供するであろう確率の高さをはかる上で、実績はわかりやすい指標となります。

しかし、現在ではITの発展により情報そのものにあまり価値がなくなっています。Googleで検索すればたいていの情報は出てくるのです。

もちろん、情報を集めたからといって自分たちですべて解決できるわけではないですが、コンサルティングのコストを考えてしまうと自分たちでできるだけやってみようと考えるのは自然なことではないでしょうか。

それだけに、コンサルタントとしては今後いっそう顧客獲得のハードルは高くなっていきます。

もう顧客は情報にお金を出そうとはしないかもしれません。それよりも、ソフトやハードといった確実に結果を得られるものにだけ資金を投入するようになってきているのではないでしょうか。

現時点で、コンサルティングで提供する情報よりも、得られる企業の情報情報の価値の方が大きいとした、ワークスの判断はかなり的確なのではないかと思われます。

企業の「フリー戦略」導入

ワークスの例から考えられることは、顧客は結果にはお金を払うが、そのプロセスにはシビアであるということ。

そして、商品やサービスを購入してもらうためにはいかにしてそのプロセスに顧客を引き込むかということでしょう。

そして、コンサルティングというのはプロセスでしかないこと。今後は情報の格差を利用するコンサルティングは通用しなくなるであろうと考えます。

これから企業が販売戦略を考えるならば、自社が顧客に与える結果とそのプロセスを分析し、顧客をプロセスに乗せるために必要なことは無償ででも提供することでトータルで利益を得る方法をとることが重要ではないでしょうか。

ITがここまで発達し、情報に価値が見いだせない今、マーケティング以上に自社内の分析が重要となりそうです。

〜参考資料〜
ワークスアプリケーションズ http://bit.ly/enIeRG
情報格差|IT用語集 - ダイヤモンドメディア株式会社 http://bit.ly/ejFxAr
フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略 - 情報考学 Passion For The Future http://bit.ly/er4Thp
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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