防災アイテム・アイデアワークショップを作りました
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仙台の石井です。3月11日の大地震とその後の被災生活を通じて、想定していないことがどんどん起こり、そういう時には「ありものでなんとかする」ことがとても有効でした。アイデア創出の支援をしているアイデアプラントの代表として「~がないから、できない」とはしたくない、という意地がありました。大きな余震が続くし、水も電気もなく、ガソリンも枯渇していく中でも、「無くても、必ず道はあるはずだ」と信念をつよくもって、いろんな工夫をして、乗り切りました。
予め、インプットの多かった事はいいのですが、でも、インプットが少ない領域のことは、思いつく割合が少なかったです。
テレビをみていて、津波の場面がありました。ビルの上から木の上の人にロープを投げるも届かない。そこで彼らは、かぶっているヘルメットを先端にくくりつけて、それを木に向かって投げました。これはもしかしたら消防士の訓練にあるのかもしれませんが、これを見てまた一つ、なるほど、と。これも見聞きしていれば、また、とっさの発想に役立つな、と思いました。
これから、地震が続くのかもしれません。そう遠くないうちに収束するのかも知れません。わかりませんが、防災や被災地での生活をより良いものにするようなアイテムを考えるワークショップを行うことで、その経験は、とっさの時の発想に役立つ発想のヒントになるのではないか、と思いました。そこで、防災アイテム・アイデアワークショップ、を作りました。
08~09年ごろ、私は、みやぎ工業会の技術交流員として、防災アイテムのアイデアを創出するグループも運営していました。防災専門家の方の水準には遠く及びませんが、その活動の中で得られた防災関連のノウハウも踏まえ、アイデアワークショップを行います。もちろん、従来通り、アイデア創出の技術が、体験しながら身につくように構成しています。
第一弾としては、5月7日に、千代田プラットフォームスクエアと仙台(アイデアプラント 通町オフィス)をオンラインでつないで、行う事になりました。これは、チャリティーワークショップで、利益は赤十字に寄付します。
会場は、千代田側にあり、進行は私石井が仙台からオンラインで行います。
ご興味あれば、ぜひおいでください。
アイデア創発チャリティーワークショップ
なお、ワークショップは、発想法も、防災の事も、ともに詳しくない方を想定しています。一事象に過ぎないかもしれませんが、石井の過ごした仙台での地震とその後に起こること、必要なものが変わることなどを、20分ほど「インプット編」としてお話します。
以下、簡単にスライドから、抜粋、紹介します。
1週間タイムチャート
- 1分 ― 落下物
- 20分 ― 建物から広場へ
- 2時間 ― 周辺情報交換(4km/h)、徒歩帰宅
- 12時間 ― インフラ枯渇
- 2日 ― info途絶
- 3日 ― 食料枯渇、インフラの部分復旧
- 200時間(8.5時間) ― 物資・ガソリン枯渇
(震災直後というのは、ママさんネットワークで、口コミの速度で、地域情報が伝わりました。彼女らは、かかりにくいけれどもかけ続けるとつながる、ということを知っていて30回に1回つながるので、かけ続けて、足で集めた情報を伝え合っていたそうです。男性は3回かけてダメだと、あきらめているのとずいぶん違いました。また、情報インフラは、停電後も使えていたのが、徐々に死んでいくのです。たぶん基地局が、非常用電源を使い切るとか、そういうことなのかもしれませんが、急速に閉じていく情報網の中で、急いでできるだけ情報を集めていました。食料が手に入り始めた200時間後あたりからは、ガソリンの枯渇が深刻化していきました。そんなトーンで、発生直後から200時間後までを、できるだけご紹介します。)
それから、物の価値が違って見えた、というお話もします。スライドを画像化したものを掲載します。(このブログを、テキスト形式でご覧の方にはうまく見れないかもしれず恐縮です。)
電気も、水も手に入らない中で、生活はやはり苦しかったです。小さい子供がいましたし。幸い皆体が強かったので、家の中でサバイバル生活をしているような感じもありました。
その中で「あー、これは、こういう時にはいらないなー」とか「これは持っておいてよかった」ということをもやもやっと感じた物を、2軸で表現したものです。
なお左の上側は、地震後に関東では売り切れ続出だったものですが、ここのアイテムは、落ち着いて「ずらして買う」ことをお奨めします。一度にどかんと買ったものは、一度に、ドカンと、消費期限を迎えます。被災後にいざ開けてみたら、すべて期限切れだった、ということが、将来起こってしまいます。リスクに備えるならば、徐々に買って、自然に使って入れ替えていかないといけません。
右上は意外と、該当するものがありませんでした。お金は使う機会がすごく少ないのですが、使える場所では「カード」じゃなく「現金」。これが大きかったです。後は、体力、ですね。20キロの水を汲んで、2~3キロぐらいを、何度も歩く。ガソリンがもったいないので、ひたすら。体力が付きましたし、すこし痩せました(笑)。
他のエリアについてもいろいろと、紹介したいことがあります。
そんなことをした後に、アイデアワークショップの本編に入ります。
防災アイテムの考案事例として、iPadケースの形状を変えた「盾」の様なもちかたができるケースのアイデアを紹介しつつ、段階を踏んで自然とアイデアが醸成されるワークを展開します。
今回の5月7日のワークショップについては、残席がまだ少しあるようです。ご興味あればぜひ、おいでください。(千代田の)会場はアイデアプラントのパートナー企業である、ラーニングプロセスのメンバーがいます。彼らはマインドマップの専門家であり、創造的な進行がうまいのできっと楽しい場になると思います。
追記)ちなみに、同社の社長・矢吹さんもご実家が福島、ということで、今回の震災には、私も彼も当事者としての強い思いがあります。我々は、ものも、仲間もたくさん失った。しかし、生き残った我々には、未来に向けて、力強く、復興への道を歩み始める使命があります。新しい発展に向けて、精一杯やれることをやってみたいと思います。
申込みや、会場などはこちらをご覧ください。
【 Infomation 】
4月1日、アイデアプラントの公式サイトがリニューアルしました。
明日25日からは、仙台以南の新幹線も復旧しますので、全国に向けて、ワークショップや講演も、提供再開してゆきます。アイデアプラントの作品が、アマゾンで一部品切れ状態から復旧しませんが、独自のオンラインショップの方は、全国出荷を再開していますのでぜひご利用ください。
ゆるーい、発想の支援ツールも、ただ今水面下で開発中です。震災で発想の集中力が保てなくなった方も、思わずにやりと笑いながら、ペンを走らせるようなものを、準備していますのでぜひ、ご期待ください!
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