【まとめ】面白法人カヤックに留学してきました
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昨年5月、「面白法人カヤック」に1週間、作り続ける現場を体験してきました。最終回、参与観察をまとめます。
面白法人への留学。それは、当初予想できなかった大事なことに気がついていくプロセスであった。筆者の乏しい観察眼と洞察力では、4日間で同社のことをわかったと言うのはあまりにはおこがましい。しかし、中を見せてもらう機会に恵まれたものの使命として、少しでも言語化してみたい。
筆者は、当初、カヤックの中には創造的な思考を醸すアイテムがあったり、ことさらに意識されるような明確な創造活動ルールがあるのではないかと思っていたが、そういうものは発見できなかった。(もちろん、ブレストルームのような素晴らしい設備もあるのではあるが)
一方で、カヤックの創造的な組織能力と強く関係していると思われる「目には見えないなもの」が沢山あった。これまでを整理しながら述べたい。
まず、個人単位ではどうか。
■創造的な個人で構成されている ━━ カヤックの人々には創造的な資質を感じた。それは制作系の部門だけではなく、総務にあたる部門の方に対してもそう感じた。いい意味で総務っぽさがないのだ。カヤックでもらえる「周辺地図」にしても非常に相違工夫があり、素敵なものであった。
次に、組織レベルではどうか。一般に、創造的な人材を集めても、ただ単に束ねても創造する組織にはなりにくい。カヤックではどうしているのだろうか。
■組織を老化させない空気が場を満たす ━━ 初日に気が付いた「ここ、集中しやすいな」という感覚と、二日目に気が付いた「創造的な要素をこわさないで受け渡しができる相互関係がある」という感覚は、三日目に気が付いた「ありがとうrichオフィス」(ありがとう。という言葉が豊富にあるオフィス)に起因していた。人々の話し声や作業の音はあちこちに常にあるが、仕事を押し付けあうような声や、部門間の冷たい対応を感じる声はほとんどない。体験しないとわかりにくいことだが、「静寂ではないがうるさくない」のだ。「ありがとう。」の空気で組織が満たされていることで、人が増え組織が巨大になっても老大企業病やセクショナリズムといった「組織の老化」が起こらない。筆者は「不老の空気で場を満たせ」と教えられた気がした。
■組織を導く力強さ ━━ 一方で、組織が拡大していくなかでもベクトルがバラバラにならないように、強い覚悟で組織が導かれている。「不老の空気」だけでは、創造的な才能をもった多様なベクトルは束ねられない。彼らの中には、組織に薫陶を与え続けるだけの強い思いと言葉を持った人が沢山いる。一般のベンチャー・中小企業でも、創業者と副社長ぐらいはそうした想いと言葉をもってひたすら伝え続ける知的耐久力をもっているが、カヤックの場合、組織の中にそのぐらいの情熱と知的耐久力を持った人が、たくさんいる。筆者は「本気の覚悟を持つ人の多さ」を社内ブログで目にして、しばし唸った。面白いだけじゃ面白くできない。
一言でまとめると、以下のようになる。
「場を満たす不老の空気」と「本気の覚悟」が「創造的な個々人」を引き出し、「創造的組織」にしている。
↑ クリックすると図表が出ます
なお、記事に書いたこと以外にも、見たこと・聞いたことは沢山ある。またそれ以上に、筆者が4日間では到底見れていないこともあると思われる。それゆえ、上記の3つの要素だけで「カヤックのような創造的組織」を作れるのかはわからないが、作るための重要な要素ではあるはずだ。"規模が大きくなっても創造的でありたい"と願う創業者やリーダにとって幾ばくかのヒントになれば幸いである。
【連載の終わりに】
面白法人留学を体験するにあたり、各種の受け入れ手続きや日々の面倒を見て下さった方々、いろんなタイミングで「一緒にブレインストーミングをしましょう」と機会をくださった方々、折に触れてカヤックらしさを教えていただいた皆様に、心から感謝の言葉を述べたい。
「皆さん、本当に、ありがとうございました。」
(御礼動画:撮影日=留学最終日、撮影場所=カヤック2Fの畳の所)
※音が出ます
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