固定化された観点を広く変えたい!というときに。次々とアイデアを出す人の「6つのサーチライト」
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普段考えていないようなテーマでも、会議でアイデアをどんどん出す人がいます。どうしてそういう発想にいきついたのですか?と訪ねると、ある種の人たちの答えには「広く考えるために観点を切り替えている」という共通の答えが見られます。説明しにくい概念的なものですが、サーチライトのようなもので説明しますと、こうなります。
・物事を発想するのに、効果的なフレームワークや発想トリガーを、しばし検索する。
・それらが見つかる→発想する(完了)
・それらが見つからない→概念の中を、広くジャンプしていく。
このジャンプしていく時の「具体的なジャンプのさせ方」は人それぞれでバラバラですが、そのコツを沢山聞いていていくと、やんわりと集約でき、頭の中の広い領域にむかって6本のサーチライト[人][モノ][プロセス][環境][意味・価値][五感で感じるもの]を照らすようなモデルで説明するとすっきりと表現できるようです。(※文末補足)。
考えているときの思考は、こんな感じです。
「その課題について、人、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
↓
「その課題について、モノ、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
↓
「その課題について、プロセス、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
↓
「その課題について、環境、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
↓
「その課題について、意味・価値、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
↓
「その課題について、五感で感じるもの、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
最後まで到達することは、すくなくて、何番目かのサーチライトが、「あ、ここになにかありそう」と直感すると、その部分に観点を固定化して、さらに詳しく考えていくようになります。詳しく考えていくと、具体的になり、次第に、なじみのある戦略フレームワークや、思考方法を展開して、パワフルに考えてくようになります。そしてそこで考えつくしたら、また遠くまでジャンプするために、次のサーチライトで、広い領域を探る、ということをします。
(ただし、ここまでシステマチックにしている人は少なく、ここに説明したものは、個々の方々の思考様式を、統合したモデルではあります。)
考えるときに、それ(概念の中を、広くジャンプしていく)を誰もが使えるように、カードにしてみました。
次々とアイデアを出す人の「6つのサーチライト」
「その課題について、人、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
「その課題について、モノ、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
「その課題について、プロセス、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
「その課題について、環境、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
「その課題について、意味・価値、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
「その課題について、五感で感じるもの、という観点では、何が思い浮かぶだろうか。」
このカードを、iPhoneの写真フォルダなどにいれておいて「固定化された観点を広く変えたい!」というときに、ぜひめくってみてください。製品開発、物語の創作、新しい運用方法の考案、などの専門の人に使ってもらったところ、かなり評価してもらえましたので、ある種の人には、有益かもしれません。
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補足:
彼ら個々人のもつ観点は、職種ごとに違います。彼らの発想する題材でも違います。それぞれのもつ観点は個人的なものであり、他の人にとっては普遍性が無いようにみえます。しかし、それらを大量にあつめて、分類しなおすと、ほぼ、上記の概念カテゴリーに分類できます。ただし、上記のカテゴリにー入れることのできないものも、すこしあります。その意味で、このカードを頻繁にお使いいただける場合には、カードをオリジナルに1つか2つ増やすといいでしょう。自分用に独自化することで、実践で一層、使いやすくなります。
補足2:
アイデア・スイッチの読者の方は、これは、「6観点リスト」とよく似ているとお気づきかも知れません。本稿は、6観点リストをベースに展開した記事ですので、お察しのとおりです。6観点リストは、そこにいたる2つの由来的な意味合いを持っています。発想トリガー集に見られる観点を大きく分類したものが、6観点リストである、という面。ブレストなどの長い時間の実験において出現するアイデアの観点は、時間とともに変遷していく傾向がみられる、その順にそって6観点は順番付けられている、という面。本稿はその意味では、後者の面と強く関係している内容といえるでしょう。
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筆者のつぶやき
私たちアイデアプラントは、カード形状の発想支援ツールを良く作りますが、こういう汎用的なものもあれば、クライアント専用のものを作るときもあります。出会う人たちの専門知識を形にする、一つのやり方として、行く先々でこういう一風変わった物を作っています。私たちは、「アイデアが出るようにする」ことを、仕事にしています。なかなか、初対面では仕事がイメージしてもらいにくいですが、私たちの考えていることの一側面として、今日は、すこしいつもとちがうテイストで、書いてみました。
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