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盛り上がるブレストばかりが良いブレストじゃない。沈黙も含めて大事にしたい。(アイデア・デザイン・創造学を研究しているといろんなTipsに触れます。600文字で紹介します。)

質と量を超えたところにあるもの。ブレストの効果【2】

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ブレストの効果【1】では、ブレストの効果についての
研究者たちの分析を紹介しました。
そこだけを引用すると、ブレストという活動の効果は
「アイデア産量」の点でも「生成されるアイデアの質」の点でも
否定されておわりですが、興味深い話もあります。

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期待の高さ
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ブレストの量と質を調べる実験において
被験者に効果をきいたケースが有ります。

「一人発案×4人」と「4人でのブレスト」では
どちらよいアイデアをだせると思いますか?
という問い。

これについては

「一人発案」実験だけを経験した人は
「4人でのブレスト」と答える人が多かったそうです。

「4人でのブレスト」実験だけを経験した人は
「4人でのブレスト」と答える人が多かったそうです。

アイデアを創出する活動をする時に、
「みんなで出した方がいい案が出る気がする」
と感じることがありますが
定量的にそれが示された形です。

「ブレインストーミングという集団発想法」は、
そういう人間の自然な期待(や動機)を利用した
発案の環境づくり、といえるかもしれません。

「アイデアを出すための時間をとること」
「アイデアを出すぞ、という強い意識を持つこと」
はアイデア創出にはとても良い効果があります。
その意味では、ブレストという発案のやり方には
一定の良い影響があるでしょう。


・・・

ただし、上記の解釈は、限定的であることも
申し上げておきます。

「4人でのブレスト」実験と
「一人発案」実験の両方を経験した人は
どうこたえたか。
この点は上記とは違う結果を示しました。

両方の実験を経験した人たちの答えは
「(一人発案も、ブレストも)どちらも変わらない」
と答える人が多かったそうです。



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参考文献:

新編創造力事典―日本人の創造力を開発する 創造技法 主要88技法を全網羅!
高橋 誠 (著) 
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